一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)小児の磁石誤飲による胃腸障害-米国、2003~20・・・

MMWR抄訳

rss

2006/12/08Vol. 55 / No. 48

MMWR55(48):1296-1300
Gastrointestinal Injuries from Magnet Ingestion in Children - United States, 2003-2006

小児の磁石誤飲による胃腸障害-米国、2003~2006年

食物以外を摂取することは、幼児には不注意あるいは故意により日常的なことで、小児や青年にも発生している。物質が大きくなく尖っていない限り、通常は健康に障害なく子供の消化器官を通過する。しかし、消費者製品安全委員会(CPSC)は小児に特徴的な健康障害をもたらす小型の強力希土類磁石を装着した玩具製品を発見し、これらの磁石誤飲による1死亡例と胃腸の手術を要した19の障害症例を確認した。この報告は、2003~2006年に発生し、CPSCにより確認された3選択症例を述べ、磁石摂取の20症例を要約している。介護者は幼児から小型磁石を遠ざけ、磁石を誤飲した場合の特徴的なリスク(例えば腸捻転、腸穿孔等)に気付くことが必要であり、医療機関は、診察の際に考えられる合併症に気付くことが必要である。症例1では、2005年11月22日に20ヵ月の男児が胃痛を訴え、2日後手足に赤い斑点と蒼白化が見られた。水を摂取後昏睡状態に陥り、腹部が膨張、間欠性意識喪失の徴候を呈した。男児は緊急診療部に搬送されたが、直後に心肺停止となり確定診断前に死亡した。解剖で、腹部に直径6mmの9個の重なった円筒型磁石を発見、腸への血液供給を妨げ、壊死、穿孔、敗血症に至った。症例2では、2005年9月7日に2歳6ヵ月の男児が猛烈な胃痛と吐き気、下痢を呈した。8日後大量の水を摂取後、遷延性嘔吐を発症、脱水症と診断され、腸閉塞が疑われて地域病院へ搬送された。レントゲンで腹部の棒状物質は3個の磁石(大きさ25mm x 7mm)であると確認、1個は開腹手術で、残りは内視鏡で取り除かれ、1週間後退院した。症例3では、2006年5月5日に5歳1ヵ月の男児が磁石1個を誤飲、医師に自然通過を助言されたが2日後また別の小さな金属玉を誤飲した。5月26日内視鏡では取り出せず、手術によって大腸から直径10mmの磁石と小腸から直径10mmの金属玉が取り除かれ、腸の患部が切除された。患者は1週間後退院した。

References

  • CDC. Nonfatal choking-related episodes among children-United States, 2001. MMWR 2002;51:945-8.
  • Kay M, Wyllie R. Pediatric foreign bodies and their management. Curr Gastroenterol Rep 2005;7:212-8.
  • Uyemura MC. Foreign body ingestion in children. Am Fam Physician 2005;72:287-91.
  • Consumer Product Safety Commission. Child’s death prompts replacement program of magnetic building sets. Release 06-127. Washington, DC: Consumer Product Safety Commission; March 31, 2006. Available at <http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml06/06127.html>.
  • Consumer Product Safety Commission. Serious injuries prompt recall of Mattel’s Polly Pocket magnetic play sets. Release 07-039. Washington, DC: Consumer Product Safety Commission; November 21, 2006. Available at <http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml07/07039.html>.
  • McCormick S, Brennan P, Yassa J, Shawis R. Children and mini-magnets: an almost fatal attraction. Emerg Med J 2002;19:71-3.
  • Oestreich AE. Danger of multiple magnets beyond the stomach in children. J Natl Med Assoc 2006;98:277-9.
  • Haraguchi M, Matsuo S, Tokail H, et al. Surgical intervention for the ingestion of multiple magnets by children. J Clin Gastroenterol 2004;38:915-6.
  • Tay ET, Weinberg G, Levin TL. Ingested magnets: the force within. Pediatr Emerg Care 2004;20:466-7.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ