ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)HIV感染の早期診断を逸した機会-サウスカロライナ・・・
MMWR抄訳
2006/12/01Vol. 55 / No. 47
MMWR55(47):1269-1272
Missed Opportunities for Earlier Diagnosis of HIV Infection - South Carolina, 1997-2005
HIV感染の早期診断を逸した機会-サウスカロライナ州、1997~2005年
2006年9月、CDCは、患者のヒト免疫不全ウイルス(HIV)スクリーニングを拡大することによってHIV感染の早期発見を増大し、HIV治療と予防サービスの利用を改善するために(例えば通常HIV検査を受けない人に緊急診療等でスクリーニングを実施すること)、医療現場でのHIV検査における勧告の改訂版を発表した。今回の勧告は、1)HIV高罹患率の医療現場のみに全患者に定期的にHIV検査を提供し、2)低罹患率の現場には患者のリスク行動に基づく標的スクリーニングを実施することを掲げて大幅に改訂したが、現在では、患者が辞退しない限り検査が行われることを通知するHIVスクリーニングが、全医療現場の13~64歳の患者に推奨されている。この報告は、2006年の勧告発表以前のサウスカロライナ州におけるHIVと後天性免疫不全症候群(AIDS)症例報告を分析している。HIV/AIDS症例は1986年以来、サウスカロライナ州では患者名によって報告する義務があった。分析には、2001~2005年のサウスカロライナ州HIV/AIDS Reporting System(HARS)からのデータ(最初のHIV陽性検査日、AIDSと診断された日、居住州等)を使用した。その結果、サウスカロライナ州において、総計4,315件のHIV感染症例が報告され、そのうち初期HIVと診断されて1年以内にAIDSが診断された患者は41%であった。患者のうち73%は、HIV陽性検査が最初に報告された以前の1997~2005年に、サウスカロライナ州医療施設に合計7,988回訪問していた。2001~2005年、感染に分類されたデータによると、HIV診断日以前に1度以上医療施設を訪問した1,302人のうち441人(33.9%)が、HIVスクリーニングを行うべきであったハイリスク行動者と認識された。彼らは注射薬使用者あるいは男性と性交渉のある男性、すなわち医療施設訪問時にリスク行動の前歴が確認されていた。しかし、7,988回の訪問のうち6,277回(78.6%)は、HIV検査を行うべきものと診断されなかった。訪問は6,303(78.9%)が緊急診療部、982(12.3%)が入院施設、594(7.4%)が外来病院、109(1.4%)が無料診療所で、医療施設への訪問からHIV診断日までの期間の中央値は、2.5年(範囲:0~9年)であった。このことより、サウスカロライナ州では、リスクに基づくHIV検査よりも、医療現場での全患者対象の定期的スクリーニングが、実質的にHIV早期診断をもたらすであろうと指摘している。
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