ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)自殺者に対する毒物検査および結果-13州、2004・・・
2006/11/24Vol. 55 / No. 46
MMWR55(46): 1245-1248
Toxicology Testing and Results for Suicide Victims - 13 States, 2004
2003年、米国では推定31,484名(10万人につき10.7)の自殺者が発生した。自殺は10~64歳の人における主要な死亡原因の第4位であり、25~35歳と10~24歳の人においても各々第2位、第3位の主要死亡原因であったが、薬物使用が自殺の原因となったことを究明する研究は、ほとんど試みられていない。アルコールあるいは他の薬物に関する毒物検査の実施を評価し、陽性結果の罹患率を測定するために、CDCは2004年にNational Violent Death Reporting System(NVDRS)に対して13州が収集したデータから自殺者の検査結果を分析した。この報告は、その分析結果を要約し、1)検査された自殺者の割合は25.9%から97.7%の範囲で州によって異なり、2)そのうち33.3%はアルコール陽性、16.4%はアヘン剤陽性であり、3)中毒自殺(疑わしい故意の過量服用)者と非中毒自殺者において、アヘン剤を除くアルコールあるいは他の薬物に対しては同様の割合で陽性であった。これらの結果は、自殺者の毒物検査結果を引き続き監視する必要性を強調しており、薬物使用の傾向が確認できれば、効果的な自殺介入の指針整備の助けとなると考えられる。データは、州または全国規模で統一された総合的毒物検査を実施することによって強化され、NVDRSは参加した州における全暴力死(殺人、自殺、法的介入、銃による不慮の死、意図不明の死)の情報を収集する州別サーベイランスシステムである。2004年、NVDRSは7,277件の自殺死のデータを受取った。特定の州では、大多数の自殺者に関して毒物検査が定期的に実施され、他州ではアルコールあるいは他の薬物使用が主要死亡原因と思われる自殺を対象とする検査が選択的に実施された。7,277名の自殺者のうち、一種類以上の薬物に関する検査が5,550名(76.3%)に実施された。全体的には、検査された自殺者の割合は検査薬物によって異なり、アルコール(74.4%)、コカイン(48.4%)、アヘン剤(ヘロインあるいは処方されたオピオイド鎮痛薬)(45.3%)、アンフェタミン(38.8%)、そしてマリファナ(29.6%)等であった。さらに州の間でも異なり、アルコールは97.4%~25.1%、アンフェタミンは95.3%~1.1%、コカインは96.5%~7.5%、アヘン剤は96.5%~10.9%、マリファナは95.3%~0.4%の範囲であった。検査結果が陽性の全自殺者で、最高率はアルコール(33.3%)、次いでアヘン剤(16.4%)、コカイン(9.4%)、マリファナ(7.7%)、アンフェタミン(3.9%)であった。非中毒自殺者より多くの中毒自殺者が検査されており、中毒自殺者の82.0%と非中毒自殺者の72.9%にアルコール検査が実施された。同じような差異がアンフェタミン(54.2%対35.8%)、コカイン(66.0%対44.9%)、アヘン剤(70.7%対40.2%)、マリファナ(42.3%対27.0%)に見られた。しかし、中毒自殺がより多く検査されたにもかかわらず、アヘン剤を除いて陽性結果を持つ検査割合は、中毒自殺と非中毒自殺との間で類似していた。
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