ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)成人におけるポリオのアウトブレイク-ナミビア共和国・・・
2006/11/10Vol. 55 / No. 44
MMWR55(44): 1198-1201
Outbreak of Polio in Adults - Namibia, 2006
ナミビアにおける野生ポリオウイルス(WPV)感染は、10年間検出されなかったが、2006年にポリオ症例のアウトブレイクが起こった。このアウトブレイクは、隣接するアンゴラからインド由来WPV1型が輸入されたことに端を発した。2006年10月2日時点で、合計19のポリオ症例が5月初旬から6月26日までに麻痺を発症し、主に青年男性の便検体からのWPV1型分離によって確認され、6名の患者が死亡した。この報告は、ナミビアにおけるアウトブレイク調査と対応について述べ、定期的、補足的予防接種活動(SIAs)および急性弛緩性麻痺(AFP)調査の最新情報を提供している。2006年5月8日、Hardap地域の39歳の男性は、AFPを2日前に発症後入院した。6月5日、南アフリカにあるNational Institute of Communicable DiseasesのRegional Reference Poliovirus Laboratoryは、患者便検体のWPV1型分離を報告した。AFP調査は強化され、2006年10月2日時点で合計306のAFP症例が報告された。306AFP症例のうち19例はWPV1型分離を通してポリオと確認され、直近では6月26日に麻痺を発症した。他の287AFP症例のうち、201例は非ポリオAFPと分類され、National Polio Expert Committeeは7症例を疑似ポリオと分類した。非ポリオAFP患者と比較して、WPV患者は麻痺発症前3ヵ月間にアンゴラ人と接触したことを頻繁に報告した(フィッシャーの直接確率検定、p=0.007)。全WPV確認症例は14歳より上(範囲:14~51歳)に発症し、19確認症例のうち14例(74%)は15~29歳であった。19名の患者のうち17名(89%)は男性、確認されたWPV患者6名は死亡した(症例死亡率[CFR]:32%)。WPV症例のアウトブレイクに対応して、ナミビアのMinistry of Health and Social Services(MoHSS)は、活動を調整するためにNational Health Emergency Management Committeeを始動した。3回の全国的SIAsが、戸別および定点ポストによるワクチン配布方法で、2006年6月21日から23日、7月18日から20日、8月22日から24日に実施された。ほとんどの患者は成人であったために、SIAsの1、2回目はナミビア住民全体(全ての年齢の成人と小児)を、3回目は5歳未満の小児のみを対象とした。経口単味ポリオワクチン1型(mOPV1)は1、2回目のSIAs時に投与され、三価OPV(tOPV)は麻疹ワクチンとビタミンAサプリメントと共に3回目のSIAs時に投与された。投与されたワクチン数と現在の推定人口を基礎として、対象人口の100%近くが全3回のSIAs実施で達成された。13地域のうち9地域で実施されたキャンペーン後のモニタリングは、95%より高いワクチン接種率であった。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.