ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)最新情報:おたふく風邪活性-米国、2006年1月1・・・
2006/10/27Vol. 55 / No. 42
MMWR55(42): 1152-1153
Update: Mumps Activity - United States, January 1-October 7, 2006
2006年1月1日~10月7日に、合計45州とコロンビア特別区は、2006年1月1日~4月29日に11州から報告された2,597症例を含む5,783件の流行性耳下腺炎の確認症例と推定症例を、CDCに報告した。この報告は、2006年の米国におけるおたふく風邪の症例の疫学について要約している。報告されたおたふく風邪は低レベルで持続しており、医療従事者は特に高リスクを持つ人の疑似おたふく風邪に警戒し、適切な臨床検査を実施し、十分な免疫力を確保するためにあらゆる機会を利用する必要がある。またおたふく風邪の症例は、National Notifiable Diseases Surveillance System(NNDSS)を通じて報告する義務がある。報告は毎週NNDSSを通じてCDCに伝達され、年齢、性別、発症日、予防接種状況、合併症等の各症例情報が含まれる。おたふく風邪の臨床症例の定義は、片側または両側の圧痛を伴い、自己限定性で耳下腺あるいはその他の唾液腺の腫脹があり、それらが2日以上持続した急性発症の疾患で、他の明白な原因の無いものである。確認症例は、検査により確認された症例あるいは臨床症例の定義を満たす症例、また確認あるいは推定症例と疫学的に関連しているもので、推定症例は、臨床症例の定義を満たすが、検査により確認されず、他の確認あるいは推定症例と関連のないものとされた。5,783例のうち3,113症例(54%)は確認症例、2,612症例(45%)は推定症例、58例(1%)は不明であった。6州(アイオワ、ウィスコンシン、イリノイ、ネブラスカ、サウスダコタ)が症例の84%を報告し、年齢が明らかな5,747名(99%)の患者における年齢中央値は22歳(範囲:1ヵ月~96歳)であり、性別が明らかな5,739名(99%)のうち3,644名(63%)は女性であった。以前の報告と同様に、年齢別最高率は依然18~24歳の患者であり、多くが大学生であった。予防接種状況に関するデータについては不完全である。また、症状開始週が明らかな5,783例については、1,498症例(26%)の発症期間である4月16日~29日にピークを迎えた。多くの学生が大学に通わない5月~9月の報告症例数は減少し、8月に学生が戻り始めた頃、おたふく風邪クラスターは、イリノイ(84例)、カンサス(22例)、バージニア(12例)州にある3大学から報告されている。これらの症例の多く(96%)は、MMRワクチンを2回接種した患者に報告された。米国のような高予防接種率の環境において、おたふく風邪含有ワクチンの2回接種は100%効果的ではなく、多くのおたふく風邪症例が2回接種した人にも発症するようである。また他の多くの要因が、おたふく風邪のアウトブレイクの拡大を引き起こしたとも考えられる(例えば、大学寮での密接な接触環境、大学入学時のMMR予防接種の要請等)。医療機関は、疑似おたふく風邪症例を警戒し、適切な診断テストを実施し、地域あるいは州の保健局へ症例を報告することを継続すべきである。
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