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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)麻疹の発症と対応-フィジー、2006年2月~5月

MMWR抄訳

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2006/09/08Vol. 55 / No. 35

MMWR55(35): 963-966
Measles Outbreak and Response - Fiji, February-May 2006

麻疹の発症と対応-フィジー、2006年2月~5月

2005年9月、世界保健機関(WHO)西太平洋地区(WPR )の37ヵ国と地域は、2012年までにこの地域での麻疹根絶目標を設定した。1996年、1997年の発症以降、1997年と1998年の麻疹追加予防接種活動によりWPRにおける麻疹感染は明らかに阻止された。その後の2003年フランス領ポリネシアとグアムの限定的発症、2003年マーシャル諸島の大規模な発症、2006年2月から5月のフィジーにおける発症は輸入によるものである。この報告は、南太平洋で最も人口の多いフィジー(2006年推定832,432人)で2006年に発症した132の麻疹症例の疫学的所見、公衆衛生的対応と可能性のある原因について述べている。2006年2月17日、フィジー保健省(MOH)は、2月8日と11日に発疹し、麻疹の疑いと肺炎で地区の病院に入院した幼児3名の報告を受けた。幼児は、西地区にあるナディ国際空港近郊に住んでいた。2月23日、フィジーの国立研究所で抗麻疹ウイルス免疫グロブリンM(IgM)に対する血清検査により麻疹が確認され、オーストラリアのVictorian Infectious Diseases Reference LaboratoryのWHO Measles Regional Reference Laboratoryによって2月28日に検証され、分離株は麻疹遺伝子型H1であることが確認された。2月17日から6月9日までに検査確認された22例(抗麻疹ウイルスIgM陽性)を含む、合計132の疑わしい麻疹症例がMOHに報告された。疑わしい麻疹症例が適切に管理され、また医療機関で麻疹ウイルス感染を予防するために、WHO Integrated Management of Childhood Illnessesのガイドラインに基づく優先順位と麻疹治療の提言が、全保健医療施設と医療従事者に配布された。さらに麻疹発病率と死亡率減少のために、WHOの症例管理ガイドラインの中核となるビタミンAが、3月末にカプセルで全病院や保健センターに配布された。様々な段階にわたる社会的動員とコミュニケーション計画が、個人や家族行動を促すために、WHO Communication-for-Behavioral-Impact アプローチを利用して展開された。第一段階「注意」は麻疹発生を住民に伝え、疑わしい症例を報告するよう働きかけた。第二段階「予防接種」は、予防接種キャンペーンを促進し、両親や保護者に対象年齢層の子供を予防接種会場に連れて行くように促した。症例の60%より多く、また重篤な結果をもたらす危険性が高い年齢層の子供たちを守るために、6ヵ月から6歳未満の91,595人が2006年3月20日から5月3日まで、麻疹・風疹予防接種の対象とされた。95%以上の予防接種率の目標が全行政レベルに設定され、予算を見積りまたワクチンや注射用の安全製品を配布するために小区域における計画が作成された。予防接種の安全性に関する授業を含む研修会を指導する活動が、全国医療従事者のために実施された。その後、MOHは5月24日時点で、対象となる子供89,747(98%)人が麻疹・風疹予防接種を受け、フィジー20小区域のうち2ヵ所が95%未満の接種率であったことを報告した。予防接種により重篤な副作用は報告されなかった。

References

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