ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)男性同性愛者の集団におけるHIV羅患率-タイ、20・・・
2006/08/11Vol. 55 / No. 31
MMWR55(31): 844-848
HIV Prevalence Among Populations of Men Who Have Sex with Men - Thailand, 2003 and 2005
2003年と2005年に、タイ保健省と米国疾病対策予防センターおよびその協力者は、タイでの男性同性愛者(MSM)におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)羅患率と危険因子の調査を実施した。2003年にバンコクでMSMのみの間で評価が行われ、2005年にはバンコクに加えてチェンマイ、プーケット地方での評価が行われた。参加者はMSM、男性性産業従事者(MSW)、性同一性障害者(TG)に分類された。この報告では、2003年と2005年のバンコクにおけるMSM間のHIV羅患率を比較し、2005年の3集団HIV羅患率を報告し、また2005年のHIV感染危険因子の単変量と多変量解析結果を要約している。結果によると、2003年から2005年のバンコクにおけるMSM間のHIV感染は有意な上昇を示した。また、2005年に3ヵ所の研究地域において、HIV感染がMSM、MSW、TG間で拡大しており、それらの危険因子は、それぞれ個別にHIV感染と関連していた。例えば、バンコクやチェンマイからの登録者(MSM)、高齢者(MSMとTG)、公園や路上からの登録者(MSWとTG)、薬物使用者(MSM)、性感染症歴の自己報告者(MSW)、過去のHIV陽性検査結果の自己報告者あるいは過去のHIV検査結果の公表拒否者(MSMとMSW)等である。過去3ヵ月間における女性との性交渉は、MSWの間ではHIV羅患率に反比例して関連していた。MSM、MSW、TGに対するより有効な行動的、生物医学的介入が、これらの集団におけるHIV拡大防止のために必要である。参加者は、場所、日時のサンプリングを利用して、MSM、MSW、TGが交際したり性交相手や客を見つけるために集まる場所から登録された。場所は、娯楽場(バーやディスコ)、公園、サウナ、路上、風俗店、マッサージ店などが含まれた。2003年には合計1,121名のタイのMSMがバンコクの14ヵ所から登録され(登録率90.2%)、2005年には合計2,049名のタイの男性がバンコク、チェンマイ、プーケットの106ヵ所から登録された(登録率97.3%)。2005年のサンプルのうち、821名はMSM、754名はMSW、474名はTGに分類された。バンコクでは、MSM間の全HIV羅患率は、2003年の17.3%(95%信頼区間[CI]=15.1%~19.7%)から、2005年の28.3%(95%CI=23.9%~33.0%)に上昇した。バンコクにおけるHIV羅患率の統計的に有意な上昇(P<0.05; χ2テストにより評価)は、娯楽場とサウナにおいて、また全年齢集団においてもMSMに見られた。2005年、バンコクでは15歳から22歳のMSMの22.3%、23歳から28歳のMSMの30.5%、29歳以上のMSMの29.7%がHIVに感染された。2005年におけるMSM間のHIV羅患率は、チェンマイで15.3%、プーケットで5.5%であった。MSW間ではバンコク、チェンマイ、プーケットで各18.9%、11.4%、14.4%であった。TG間ではバンコク、チェンマイ、プーケットで各11.5%、17.6%、11.9%であった。
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