アーミッシュ・コミュニティにおける百日咳のアウトブレイク－ケント・カウンティ、デラウエア州、2004年9月～2005年2月

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MMWR抄訳

2006/08/04Vol. 55 / No. 30

MMWR55(30): 817－821
Pertussis Outbreak in an Amish Community － Kent County, Delaware, September 2004-February 2005

アーミッシュ・コミュニティにおける百日咳のアウトブレイク－ケント・カウンティ、デラウエア州、2004年9月～2005年2月

予防接種が不十分な閉鎖的宗教社会を含む米国の集団では、ワクチンで治療可能な疾病が引き続き発症している。アーミッシュは、グループの団結と自己管理によって世間から隔絶し、その宗教的教義は予防接種を禁止していないが、多くのアーミッシュ・コミュニティにおける子供の定期的予防接種率は、依然として低い。この報告は、2004年9月から2005年2月までに、デラウエア州ケント・カウンティのアーミッシュ・コミュニティに発症した百日咳について述べているが、結果として345症例を数え、主に就学前児童に影響を及ぼした。アウトブレイクにより、コミュニティの指導者に対する教育、援助などの文化的に適切な戦略を通して、コミュニティにおける予防接種促進の必要性を強調している。臨床例は、2004年9月から2005年2月の間に発症し、ケント・カウンティのアーミッシュ・コミュニティの住民で他に明らかな原因が無く、2週間以上持続する急性咳疾患患者と定義されたものである。これにより確認された臨床例は、1)ポリメラーゼ連鎖反応（PCR）によって百日咳菌DNAと検査で確認されたもの、あるいは2)一般家庭の住居を通じて検査で確認された症例と直接的に疫学的なつながりを持つものであり、他の臨床例は推定と考えられた。2004年10月から2004年12月までに、PCRによって確認された百日咳の合計12例がデラウエア州ドーバー西部にあるコミュニティのアーミッシュ住民間で報告された。症例は、デラウエア州における2ヶ所の南端郡を管轄する公衆衛生診療所であるSouthern Health Services（SHS）から、Division of Public Health（DPH）の看護士によってデラウエアのDPHへ報告された。数名のSHSの看護士は、過去にこのコミュニティの百日咳患者に対する治療経験があり、予防接種率の低さを認識していたので、症状を持つ子供が報告された際、百日咳を疑った。新たな症例防止策と積極的な調査が行われ、それには密着調査と援助の促進、またアーミッシュの学校における百日咳診療所の特設が含まれていた。診療所は、適切な場所、規定の下、エリスロマイシンを配布し、百日咳の予防や対策に関する家族の教育も可能にした。ヘルスケア提供者の間でアウトブレイクの認識を高めるために、健康注意情報や診断キットが地域の医師に配布された。自己記入式調査と世帯インタビュー調査から確認された百日咳の総数345症例については、65は確認例、280は推定例であった。臨床例の百日咳推定総合発病率は20%（345/1,711）であった。両調査によって確認された症例のうち、20（6%）は1歳未満乳児、143（41%）は1歳から5歳までの幼児、182（53%）は5歳より上であり、臨床例患者の年齢中央値は6歳（範囲：0歳～75歳）であった。171（50%）は発作性の咳、115（33%）は吸気時のフープ、108（31%）は咳嗽後嘔吐があり、入院や死亡は報告されなかった。

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