ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)渡航によるデング熱-米国、2005年
MMWR抄訳
2006/06/30Vol. 55 / No. 25
MMWR55(25): 700-702
Travel-Associated Dengue - United States, 2005
渡航によるデング熱-米国、2005年
デング熱は4種類のデングウイルス血清型(DEN-1、DEN-2、DEN-3、DEN-4)の蚊によって媒介される急性ウイルス性疾患である。デング熱は、世界中の熱帯、亜熱帯地域の風土病で、これらの地域に渡航した米国住民に発症した。州保健省と合同で、CDCは米国住民の渡航によるデング熱に対する受動的なサーベイランスシステムを支持している。渡航者の疑似デング熱は、州保健省に報告され、保健省は診断試験用検体をCDCに転送する。渡航によるデング熱症例とは、米国あるいはコロンビア特別区以外のデング熱流行地に、発症前14日間渡航した50州あるいはコロンビア特別区(DC)の住民で、検査室で診断が確定されたものと定義されている。この報告は、2005年に米国住民で死亡した1名を含む96名の渡航によるデング熱症例に関する情報を要約している。熱帯地域への渡航者は、蚊に対する殺虫剤使用や蚊による曝露を避けることで、デング熱の危険性を減少することができる。医療機関は、デング熱流行地から帰国した患者における熱性疾患の鑑別診断を検討すべきである。2005年、臨床症状を基礎とした疑似デング熱感染渡航者199名の血清標本が、30州からCDCに提出された。199名の患者のうち、78名(39%)はデング熱であるとの検査室診断を受け、51名(26%)は血清検査用の回復期検体が入手できなかったために不確定とされ、70名(35%)はデング熱と診断されなかった。78名のデング熱患者のうち、70名(90%)は抗デングIgM抗体が上昇した。8名(10%)は、ポリメラーゼ連鎖反応あるいはウイルス分離によって血清中にデングウイルスが確認された。18名の追加された患者(フロリダ州から12名、テキサス州から5名、ニューメキシコ州から1名)は、民間試験所で抗デングIgM抗体上昇が確認され、デング熱の診断が下された。デング熱と診断された96名の患者で、53名(55%)は女性であった。年令が報告された83名の患者における中央値は、43歳(1―84歳)であった。患者73名(76%)の渡航先が確認され、32名(44%)は発症前2週間メキシコ、19名(26%)は中央アメリカ、16名(22%)はカリブ海、6名(8%)はアジアへの渡航を報告した。臨床症状は24名(25%)の患者に対して報告された。6名は少なくとも1種類の出血症状(鼻出血、吐血、血尿、喀血、点状出血、紫斑)を呈した。
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