ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)金属製の装飾品を飲み込んだ小児の死亡-ミネソタ州、・・・
MMWR抄訳
2006/03/31Vol. 55 / No. 12
MMWR55(12):340-341
Death of a Child After Ingestion of a Metallic Charm - Minnesota, 2006
金属製の装飾品を飲み込んだ小児の死亡-ミネソタ州、2006年
鉛含有塗料は、6歳未満の小児における鉛曝露源としては最も一般的である。しかしある報告では、ロサンゼルス郡における6歳未満の鉛中毒小児例の34%は家庭内の鉛含有製品(飴、フォーク、民間薬、セラミック製食器類、金属製玩具、装身具)への曝露が原因としている。アメリカ人小児における血中鉛濃度(BLL)の低下、鉛塗料の危険性に関する教育、住宅内での鉛曝露リスクの低下に伴い、鉛含有製品の飲み込みが致死的なBLLの原因として増加している。この報告では、鉛を含むハート型の金属性の飾りを飲み込み、脳症を発症し急性鉛中毒により死亡した症例を紹介する。2006年2月中旬、小頭症と発達遅滞の4歳男児が嘔吐を主訴としてミネソタ州ミネアポリスの小児救急部を受診した。ウイルス性胃腸炎の疑いで、制吐薬オンダンセトロンを処方されたが、その後病状は悪化し2日後に再び入院した。CT検査で広範な脳浮腫を認め、脳室増瘻術と減圧開頭術を緊急に行った。腹部X線検査にて胃内にハート型の異物を認めたため、血中の重金属濃度を検査したところ、BLLが180μg/dLであった。脳血流検査所見より脳死と診断され、入院4日目に死亡した。剖検にて、患児の胃よりハート型の飾りが取り出された。母親はその飾りは息子が訪れた家の子供の靴についていたことを認めたが、息子がその飾りを飲み込んだことには気づいていなかった。また患児はそれ以前に食品以外のものを飲み込んだりしたことはなかった。その後この飾りと同様の製品について鉛含有率を調査したところ、その含有率にばらつきがあることが明らかになった。これは、この製品では必ずしも鉛が必要ではないことを示唆しており、鉛曝露予防対策の一部として、消費者製品における不必要な鉛使用の制限あるいは中止を行うべきである。
References
- Childhood Lead Poisoning Prevention Program. Cenus/surveillance data. Los Angeles, CA: Los Angeles Department of Health Services; Maternal, Child & Adolescent Health, Childhood Lead Poisoning Prevention Program; 2006. Available at <http://lapublichealth.org/lead/reports/ leaddata.htm>.
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