ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)大学キャンパスにおける洪水後のレプトスピラ症-ハワ・・・
2006/02/10Vol. 55 / No. 5
MMWR55(5):125-127
Leptospirosis After Flooding of a University Campus - Hawaii, 2004
レプトスピラ症は人獣共通感染症であり、ハワイのような熱帯地域の風土病とされ、ハワイ州における年間発症率は人口10万人あたり1.29である。洪水やハリケーンの際に汚染された水や泥との接触により感染リスクが高まり、症状はインフルエンザ様疾患と類似し、ほとんどの症例が自然治癒するが、5-10%の症例にて重症化し、死に至る場合もある。2004年11月19日、Hawaii Department of Health(HDOH)にレプトスピラ症の疑い例が報告された。症例は56歳のハワイ大学教授であり、10月31日の大雨により大学キャンパス内を洪水が襲ったため、その後研究室を清掃しており、その際にLeptospira interrogans感染動物の尿に汚染された泥水と接触したことが原因と考えられた。教授は10月31日-11月2日にかけて研究室をサンダル履きで清掃し、水疱ができていた。11月10日、発熱、寒気、嘔吐を発症、14日には解熱したが振せん、平衡感覚異常、閃光が発現したため、17日に救急外来を受診し、入院となった。EIA法によるレプトスピラIgMは陰性であったが、医師はレプトスピラ症を疑い、ドキシサイクリンの経口投与を行った。24日の検査ではIgM EIA陽性となり、顕微鏡下凝集試験(MAT)によるレプトスピラ抗体の検査を行ったところ、回復期にはレプトスピラ抗体価も上昇した。他の感染例を調査した結果、271名中90名(33.2%)が洪水から30日以内に発熱を来しており、うち34名(37.8%)が受診していた。IgM EIAによるスクリーニング検査を46名(51.1%)に行った結果、レプトスピラ症が1例確認された(27歳男性、同じ研究室で働く大学院生)。本症例は11月10日、発熱、寒気、嘔吐、下痢および頭痛を来し、教授がレプトスピラ症と診断されたことを知り、19日に受診していた。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.