ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)屋外でのイベントにおける疾患アウトブレイクの早期発・・・
2006/01/27Vol. 55 / No. 3
MMWR55(3):71-74
Surveillance for Early Detection of Disease Outbreaks at an Outdoor Mass Gathering - Virginia, 2005
2005年7月、バージニア州において開催された10日間の屋外キャンプイベントの参加者(約43,000人)を対象に、疾患およびけがの発生をモニタリングするセンチネルサーベイランスが行われた。キャンプは20のサブキャンプに分けられ、それぞれ31-90のグループ(約40名/グループ)が属していた。食事はグループ単位で調理されたが、飲料水や手洗い用の水はサブキャンプで共有し、仮設トイレやシャワーはサブキャンプ内に数ヶ所設置された。調査はイベント開始2日間に到着したバスごとにスクリーニングを行い、到着前48時間以内に嘔吐、下痢、発疹、発熱、充血眼、咳などの症状を示す症例が3例以上確認された場合、全乗客に対し詳細な調査を行い、さらにキャンプ中に設置された25の診療所を受診した症例について分析した。一次スクリーニングでは7月25日、グループAおよびBにおいて消化器症状の発症を認めた。Aでは8/40名(20%)が嘔吐/下痢を来たし、翌日さらに3例が発症、Bでは到着日に6/80名(8%)が消化器症状を呈し、到着前60時間に22例が発症していた。症状は24-48時間持続した。スクリーニングの結果、潜伏期間は24-48時間、発症率はグループA:40%(16/40)、B:48%(38/80)であった。また、センチネルサーベイランスによればグループCにて38%(15/40)、アクティブサーベイランスではグループDが20%(8/40)の消化器症状を示したことがわかった。全体での消化器疾患発症率は1,000人あたり22.2であり、グループA-Dから採取した便検体(n=6)のうち4検体からノロウイルスが検出された。感染拡大防止のため、日々の手洗いを励行し、また症例に食事の準備や配膳をさせないなどの措置が取られた。7月24日-8月2日において疾患およびけがは計14,857例にて認められ、うち23.5%(3,486名)は暑熱障害を来たし、消耗/発作は1,624例(3.7/1,000人/日)、気温および湿度から算出される暑さ指数が最高値(49.4℃)となった7月27日には暑熱障害による消耗/発作率は1,000人あたり11.5であった。その他に分類された3,959例(26.7%)は水疱、鼻血、歯科などであり、受診理由として他に呼吸器系:1,016(6.8%)、マダニ:453(3.0%)、虫刺され/刺痛:1,377(9.3%)、発疹:417(2.8%)、高血圧/胸痛など:96(0.6%)などが挙げられ、死亡者は5例(いずれも成人、心筋梗塞:1例、感電死:4例)であった。屋外でのイベント開催時には、参加前のスクリーニング、発症例のサーベイランスシステム、電子カルテによる迅速な報告、開催地周辺の確定研究所診断体制および救急医療体制、症例のトリアージ、避難体制など、事前の対策が重要である。
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