一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)インフルエンザA(H3N2)ウイルスの高レベルのア・・・

MMWR抄訳

rss

2006/01/20Vol. 55 / No. 2

MMWR55(2):44-46
High Levels of Adamantane Resistance Among Influenza A (H3N2) Viruses and Interim Guidelines for Use of Antiviral Agents - United States, 2005-06 Influenza Season

インフルエンザA(H3N2)ウイルスの高レベルのアダマンタン耐性と暫定的な抗ウイルス薬使用ガイドライン-アメリカ、2005~06インフルエンザシーズン

アメリカではインフルエンザのため毎年約20万人が入院し、36,000人がその合併症のため死亡する。抗ウイルス薬はワクチンの補助としてインフルエンザの予防と制御に重要である。現在、インフルエンザAウイルスのみに活性を示すアダマンタン系薬剤あるいはM2イオンチャネル阻害薬(アマンタジン、リマンタジン)とA、B両ウイルスに活性を示すノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル)という2種類の抗ウイルス薬が使用可能となっている。この報告では、アメリカにおけるアダマンタン耐性インフルエンザAウイルスに関する新たな知見と残りの2005-06インフルエンザシーズン中の抗ウイルス薬使用に関する暫定的な勧告を紹介する。インフルエンザAウイルスのアダマンタン耐性率は世界的に増加している(2001-02インフルエンザシーズン:1.8%、2003-04インフルエンザシーズン:12.3%)。アメリカのWHO協力研究所とNational Respiratory and Enteric Virus Surveillance System(NREVSS)研究所は2005-06サーベイランスシーズン開始以降38,932検体についてインフルエンザウイルス検査を行い、1,577検体(4.0%)が陽性であった。この1,577株中1,499株(96.3%)はインフルエンザA型、58株(3.7%)はインフルエンザB型であった。またサブタイプ分析を行ったインフルエンザAウイルス765株のうち760株(99.3%)はA(H3N2)型、5株(0.7%)はA(H1N1)型であった。2005年10月1日-2006年1月14日、CDCは23州から収集したインフルエンザAウイルス123株についてアダマンタン耐性検査を行い、A(H3N2)型120株のうち109株(91%)のM2蛋白にアマンタジン・リマンタジンに対する耐性をもたらすS31N置換を認めた。A(H1N1)型3株には突然変異はみられなかった。また1月14日現在、全米のインフルエンザウイルスでCDCが抗ウイルス薬耐性を検査したものは、ノイラミニダーゼ阻害薬に対し感受性を示している。この結果を受け、CDCは残りの2005-06インフルエンザシーズン中、アメリカではインフルエンザA感染症の治療や予防にアマンタジンとリマンタジンを使用しないよう勧告している。この期間中インフルエンザの治療にはオセルタミビルかザナミビル、インフルエンザ予防にはオセルタミビルを処方するべきである。

References

  • Thompson WW, Shay DK, Weintraub E, et al. Influenza-associated hospitalizations in the United States. JAMA 2004;292:1333-40.
  • Thompson WW, Shay DK, Weintraub E, et al. Mortality associated with influenza and respiratory syncytial virus in the United States. JAMA 2003;289:179-86.
  • Belshe RB, Smith MH, Hall CB, Betts R, Hay AJ. Genetic basis of resistance to rimantadine emerging during treatment of influenza virus infection. J Virol 1988;62:1508-12.
  • Bright RA, Medina MJ, Xu X, et al. Incidence of adamantane resistance among influenza A (H3N2) viruses isolated worldwide from 1994 to 2005: a cause for concern. Lancet 2005;366:1175-81.
  • Sweet C, Hayden FG, Jakeman KJ, Grambas S, Hay AJ. Virulence of rimantadine-resistant human influenza A (H3N2) viruses in ferrets. J Infect Dis 1991;164:969-72.
  • Moscona A. Neuraminidase inhibitors for influenza. N Engl J Med 2005;353:1363-73.
  • Food and Drug Administration. FDA news: FDA approves Tamiflu for prevention of influenza in children under age 12. Rockville, MD: Food and Drug Administration; 2005. Available at <http://www.fda.gov/bbs/ topics/news/2005/new01285.html>.
  • CDC. Prevention and control of influenza: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR 2005;54(No. RR-8).
  • CDC. Update: influenza activity-United States, December 25-31, 2005. MMWR 2006;55:11-3.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ