ホームIMICライブラリMMWR抄訳2006年(Vol.55)学童におけるフラワートルティーアによる胃腸疾患の複・・・
2006/01/13Vol. 55 / No. 1
MMWR55(1): 8-11
Multiple Outbreaks of Gastrointestinal Illness Among School Children Associated with Consumption of Flour Tortillas - Massachusetts, 2003-2004
2003年2月-2004年5月、Massachusetts Department of Public Health(MDPH)に学童における胃腸疾患の発生が9つの学校から計10回報告された。臨床的、疫学的特徴は1997-1998年に発生したブリトーによる嘔吐症に類似し、学校で出されたランチによるものであり、潜伏期間および罹病期間ともに短期的であった。MiddlesexおよびSuffolk郡では2003年9月、学校Aのスクールナースから昼食後、複数の生徒が保健室に治療に来たとの報告があった。このランチが出された3校のうち2校(学校Aおよび学校B)において患者が確認されたことから、それぞれ6-7年生59名、5-6年生63名を対象にランチ後24時間以内の胃腸症状および神経症状の発症およびトルティーアとともに出されたチキンファジータに関する調査が行われた。学校Aでは59名中15名(25%)が昼食後[14(1-330)分]に頭痛(87%)、悪心(80%)、腹痛(67%)およびめまい(53%)、学校Bでは63名中16名(25%)が昼食後[35(5-1,440)分]に腹痛(88%)、悪心(69%)、頭痛(69%)、めまい(69%)などを発症していた。罹病期間は学校A:7(1-72)時間、学校B:5(1-96)時間であり、両校ともにチキンファジータのトルティーアとの関連が認められた。また、2004年5月、Suffolk郡の学校Cにおいて胃腸疾患の発生が報告された。1-6年生187名を対象とした調査では、具合の悪くなった36名は悪心(89%)、頭痛(83%)、腹痛(61%)、倦怠感(56%)、めまい(47%)および嘔吐(42%)などの症状を来たし、うち49%が昼食後30分以内にそれらの症状を訴え、チキンファジータのトルティーアおよびオレンジジュースとの関連が認められた。Massachusetts Food Protection ProgramおよびFDAによる調査の結果、製造業者Aにより供給されたトルティーアとの関連性が示唆され、FDA、Illinois Department of Public Health、CDCにより製造工場の査察が行われ、化学物質や製品の保存や使用状態の不適性が明らかとなり、FDAにより原料および成分の分析が行われた。3校からFDAに提出されたトルティーアからはブドウ球菌性エンテロトキシン、セレウス菌下痢および嘔吐性エンテロトキシンなどは検出されず、また、1校と製造業者Aの未開封サンプルおよび対照検体(市販品)の検査では、高濃度のプロピオン酸カルシウムおよび臭素酸カリウムが検出された。胃腸症状の原因であるとの特定はされていないが、発症リスクの可能性はあり、FDAは製造業者Aに対し両化合物の減量を指示した。
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