ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)ふれあい動物園に関連する大腸菌O157:H7の発生・・・
2005/12/23Vol. 54 / No. 50
MMWR54(50):1277-1280
Outbreaks of Escherichia coli O157:H7 Associated with Petting Zoos - North Carolina, Florida, and Arizona, 2004 and 2005
ノースカロライナ州では、2004年10月29日、North Carolina Division of Public Health(NCDPH)にNorth Carolina State Fairに参加した小児3例が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症したとの報告があった。North Carolina State Fairは10月15-24日に開催され、約80万人が参加したフェアであり、ふれあい動物園が2ヶ所(動物園A、B)開設されていた。調査によりフェアに参加した後に計108例[5(1-61)歳、男性44女性64]が発症しており、うち82例(78%)が動物園を訪れていた。症状は主に出血性下痢:42例(48%)および発熱:48(44%)であり、41例にて志賀毒素産生性大腸菌(STEC)が検出され、うち38例にて大腸菌O157:H7が確認された。20例(19%)が入院し、15例(14%)はHUSと診断された。CDCとの合同調査(症例:45例、対照:188例)の結果、動物園Bとの関連が示唆された(補正オッズ比:8.2)。フロリダ州では、2005年2月10-21日に開催されたFlorida Fairsおよび3月1-13日に開催されたFlorida Festivalsの参加者において、O157:H7感染が22例(うちHUS:7例)発生した。問診の結果、ふれあい動物園での動物との接触の関与が疑われ、症例、動物(n=36)の便検体および環境検体を分析した結果、PFGE法によりヒト便24検体、動物糞6検体および環境(土壌)20検体から大腸菌O157:H7が検出された。Florida Department of Healthにより調査が行われ、フェアへの参加後10日以内のO157:H7感染症および参加後21日以内のHUS発症例は合計63例[4(1-63)歳、男性28女性35]であり、うち20例(32%)は培養検査により確診された。全例が下痢を来たし、嘔吐:28例(44%)、下腹部痛:27例(43%)、発熱23例(37%)を多く認め、入院は17例(27%)、HUSは7例(11%)であった。34例(54%)がふれあい動物園にてウシ、ヒツジまたはヤギに接触し、20例(32%)が餌を与えており、対照(176例)との調査においても、動物との直接的/非直接的(飼料や剃毛など)接触の関与が認められた(オッズ比それぞれ4.2、3.3)。また、アリゾナ州でも2005年7月、州内の動物園のふれあいコーナーにて動物に接触した小児2例が大腸菌O157:H7感染症を発症し、動物園の動物15/25頭(60%)からもO157:H7が検出されている。近年、動物からのO157:H7感染が増加していることから、小さい子供と動物との接触を制限する動きが出ている。
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