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MMWR抄訳

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2005/12/16Vol. 54 / No. 49

MMWR54(49):1253-1256
West Nile Virus Activity - United States, January 1-December 1, 2005

西ナイルウイルスの動向-アメリカ,2005年1月1日~12月1日

西ナイルウイルス(WNV)はアメリカにおけるアルボウイルス脳炎の主要起炎菌である。WNVは1937年にアフリカで発見され、西半球では1999年にニューヨーク市で初めて検出された。それ以降、季節的に発熱性疾患と重度の神経疾患の流行を引き起こしている。この報告は、2005年1月1日-12月1日にArboNET(インターネットによるアルボウイルスサーベイランスシステム)を通じてCDCに報告されたWNVサーベイランスデータの概要である。2005年12月1日現在、42州596郡(全米3,142郡の18.8%)からWNV疾患2,744症例が報告されている。これら症例のうち1,165例(42.5%)はWNV神経侵襲性疾患(WNND:髄膜炎、脳炎、急性弛緩性麻痺)、1,434例(52.2%)は西ナイル熱(WNF)、145例(5.3%)は非特異的疾患であった。全WNV疾患症例の31%(854例)、WNND症例の25%(285例)はカリフォルニア州からの報告であった。WNND1,165例の年齢中央値は57歳(3ヶ月-98歳)、665例(57.1%)は男性で、994例(85.3%)は入院し、85例(7.3%)が死亡した。WNNDのうち急性弛緩性麻痺は68例(5.8%)で、年齢中央値は52.5歳(9-84歳)、39例(57.4%)は男性で、5例(7.4%)が死亡した。WNNDによる死亡者の年齢中央値は75歳(36-98歳)であった。WNF1,434例の年齢中央値は48歳(1-92歳)、799例(55.7%)が男性、325例(22.7%)が入院し、4例(0.3%)が合併症のため死亡した。死亡例の年齢中央値は89.5歳(44-92歳)であった。動物のサーベイランスでは、45州583郡よりWNV感染死亡鳥類5,204羽(カラス科:4,274羽)、ヒト以外の哺乳類におけるWNV疾患は1,089件(馬1,072頭、イヌ5匹、リス6匹、未確認種6匹)、43州410郡よりWNV陽性蚊プール11,263が報告された。2005年のWNV疾患の報告例は2004年に比べ増加しており、アメリカではWNVの地域的伝播が今後も続くと予想される。したがって今後もWNVのサーベイランス、蚊のコントロール、蚊の刺傷からの個人的防御の促進、さらなる予防戦略の検討を続ける必要がある。

References

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