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MMWR抄訳

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2005/09/23Vol. 54 / No. 37

MMWR54(37):928-931
Vibrio Illnesses After Hurricane Katrina - Multiple States, August-September 2005

ハリケーンカトリーナ後のVibrio疾患-多数の州,2005年8月~9月

2005年8月29日、フロリダ州に上陸したハリケーンカトリーナは多大な影響を及ぼした。8月29日~9月11日にVibrio疾患22例が新たに確認され、そのうち5例が死亡した。この報告ではハリケーンカトリーナ後のVibrio疾患について州および地域健康局とCDCによる調査結果の概要を紹介し、このうち3例を呈示する。患者A:60歳男性。被災により両足首に損傷を負い、2005年9月1日、下痢症状が現れたが避難所生活のため適切な治療が受けられなかった。2日に入院、血液培養でV.vulnificusが検出され翌日死亡した。患者B:ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)、冠動脈疾患、高脂血症を持つ61歳男性。被災後の検査で低体温および動脈の劣化、磨耗が認められた。血液からV.parahaemolyticusが分離された。抗菌薬(レボフロキサシン)を投与したが翌日死亡した。患者C:49歳女性で、家族にC型肝炎保有者がいる。被災後ボートで救出され、ニューオリンズ州から避難した。9月4日、左腕の広範囲におよぶ皮膚損傷のためアーカンサス病院に収容された。水泡および敗血症性ショック、壊疽性筋膜炎を発症していた。血液からV.vulnificusが分離された。12日よりセフタジジムおよびドキシサイクリンによる治療を受けたが危険な状態は続いている。Vibrio疾患に関する基本的情報(疫学、起因菌、症状、診断法、治療法など)を示す。Vibrio疾患22例中18例(男性:15、女性:3、31-89歳[中央値:73歳])は創感染症、4例は非創感染症であった。創感染症例において重度Vibrio疾患のリスク上昇との関連が示唆された基礎疾患は心疾患、糖尿病、腎疾患、アルコール中毒、肝疾患、消化性潰瘍、免疫不全、悪性腫瘍であった。非創感染症4例中1例は生後2ヶ月の男児であった。これら症例の起因菌はV.vulnificus、V.parahaemolyticus、非毒素産生性のV.choleraeであった。これら細菌は環境由来であり、ヒトからヒトへの伝播によるアウトブレイク発生ではないと思われた。 医師はハリケーン避難者におけるVibrio感染症に警戒すべきであり、特に感染創を有する患者、さらに感染症のハイリスク群に対する注意が必要である。またVibrio感染が疑われた場合には患者由来検体の適切な培養と経験的治療の迅速な開始(特に創感染症の治療)が重要である。

References

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