ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)水銀への曝露-ケンタッキー州、2004年
2005/08/19Vol. 54 / No. 32
MMWR54(32):797-799
Mercury Exposure - Kentucky, 2004
2004年11月10日、ケンタッキー州において15歳のハイスクールの生徒が液体水銀の入ったバイアル瓶をスクールバスおよび学校へ持ち込んだ。約15人の生徒が校内のカフェテリアでこのバイアル瓶で遊んでいたため、学校職員は生徒たちを隔離し、洋服を没収し袋に入れ、カフェテリアを封鎖した上、地域の保健所へ連絡した。これを受け11月10-24日、州保健所スタッフによる生徒たちの水銀曝露検査およびU.S. Environmental Protection Agency(EPA)による環境調査が行われた。検査の結果、水銀を持ち込んだ生徒を除き、基準値を超える生徒は認められなかった。カフェテリアでは5,280-36,600ng/m3の水銀が検出され、2日間の清掃、加熱処理、換気処理後、安全と判断され、約15台のスクールバスも検査、清掃された。生徒が居住するトレーラハウスは清浄不能と判断され(空気中水銀濃度: 50,000ng/m3以上、処理後:11,550ng/m3)、回収、破壊された。また、バンおよび乗用車1台は清掃後返還されたが、生徒の友人の家族が所有する乗用車は清浄できず、回収された。生徒は通っている歯科医院のゴミ箱で水銀を見つけたと主張したが、歯科医院では水銀は患者が使用するトイレでもある保管庫に管理されており、生徒は通院時に水銀を持ち出していたことを認めた。生徒およびその家族(7名)の血中水銀濃度は32-72μg/L(正常値:0-10μg/L)、24時間尿中水銀濃度は28-496μg/L(正常値:0-19μg/L)であり、いずれも生徒の値が最も高かった。Kentucky Department for Publish Health(KDPH)は、水銀の毒性や水銀を溢流した場合の適切な処置に関する情報を全ての地域保健所に通達した。国および連邦保健局は、学校、臨床医および保健所の職員に対し、水銀の溢流・曝露に関する使用ガイドラインを提供する必要がある。
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