一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)野生型ポリオウイルス伝染阻止への進歩-世界的状況,・・・

MMWR抄訳

rss

2005/04/29Vol. 54 / No. 16

MMWR54(16):408-412
Progress Toward Interruption of Wild Poliovirus Transmission - Worldwide, January 2004-March 2005

野生型ポリオウイルス伝染阻止への進歩-世界的状況,2004年1月~2005年3月

1988年にWHOが世界的にポリオ根絶を宣言した後、ポリオを風土病とする国は2003年までに125ヶ国(1988年)から6ヶ国に減少しているが、2003年、アフリカのナイジェリアとニジェールにおいて再発し、2004年には1年以上症例報告のなかった周辺14ヶ国へとポリオ感染が拡大した。今回、2004年1月-2005年3月におけるポリオ伝染阻止に関する状況を報告する。2003年の経口ポリオワクチン3回接種(OPV3)実施率は78%(アフリカ地域61%、ヨーロッパ地域91%)であり、発生が確認されている国における接種率は依然として低い[ナイジェリア(39%)、ニジェール(51%)、アフガニスタン(54%)、パキスタン(69%)、インド(70%)]。5歳以下の小児を対象とした補足的ワクチン接種運動(SIA)は、2004年45ヶ国にて計171回実施され、約37,200万人に対し24億回分接種された。また、アフリカ西部および中央部23ヶ国およびスーダンでは全国的予防接種日(NID)が実施され、約8,000万人の小児への接種が行われている。急性弛緩性麻痺(AFP)調査における非ポリオAFP(NPAFP)の世界平均は2003年:1.9から2004年:2.3(ヨーロッパ地域:1.1、アフリカ地域:3.0)に上昇し、特にインド(2003年:2.0から2004年:3.0)、ナイジェリア(6.0から8.2)、パキスタン(3.0から3.5)などで高値であった。また、検体収集率は平均86%であるが、インドの23%、ナイジェリアの40%の地域において基準値に達していない。2003年から2004年におけるWPV症例数はアフガニスタン、インドおよびパキスタンにて336例から193例に減少しているが、ナイジェリアにおける伝染による症例数の増加(355例から792例)および他国への感染拡大により、世界的には784例から1,266例に増加している。インドでは2004年の症例数が最も少なくなり(136例)、発生地域もUttar Pradesh西部およびBihar地域に限定され、パキスタンでも発生地域の限局化が進み、Punjab州南部およびSindh州に集中している。ナイジェリアでは全症例の62%(792/1,266例)が発症し、2003年から2004年にかけて周辺各国へ拡大し、最近ではエチオピアへの拡大も確認された。また、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、マリおよびスーダンの6ヶ国では風土化WPV伝染(輸入ウイルスによる6ヶ月以上の伝染)が報告されている。今後、特にアフリカ諸国におけるWPVの国境を越えた感染拡大への対策が重要と考える。

References

  • World Health Assembly. Global eradication of poliomyelitis by the year 2000: resolution of the 41st World Health Assembly. Geneva, Switzerland: World Health Organization; 1988 (WHA resolution no. 41.28).
  • CDC. Progress toward global eradication of poliomyelitis, January 2003-April 2004. MMWR 2004;53:532-5.
  • CDC. Progress toward poliomyelitis eradication-Afghanistan and Pakistan, January 2004-February 2005. MMWR 2005;54:276-9.
  • World Health Organization. WHO-UNICEF estimates of routine immunization coverage. Geneva, Switzerland: World Health Organization;2005. Available at <http://www.who.int/vaccines/globalsummary/timeseries/tswucoveragepol3.htm>.
  • Liu HM, Zheng DP, Zhang LB, Oberste MS, Pallansch MA, Kew OM. Molecular evolution of a type 1 wild-vaccine poliovirus recombinant during widespread circulation in China. J Virol 2000;74:11153-61.
  • CDC. Progress toward poliomyelitis eradication-poliomyelitis outbreak in Sudan, 2004. MMWR 2005;54:97-9.
  • CDC. Progress toward poliomyelitis eradication-Egypt, 2003-2004. MMWR 2004;53:820-2.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ