ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)梅毒治療のためのBicillin C-Rの不注意な・・・
2005/03/11Vol. 54 / No. 9
MMWR54(9):217-219
Inadvertent Use of Bicillin(r) C-R to Treat Syphilis Infection - Los Angeles, California, 1999-2004
2004年3月、Los Angeles County Department of Health Services(LACDHS)は1999年1月―2004年3月にロサンゼルスの男女同性愛者コミュニティを担当する大規模非営利的診療所が梅毒患者の治療にペニシリンの非推奨製剤を使用したという報告を受けた。この診療所は、CDCが梅毒と連鎖球菌感染の可能性のある上気道感染症の治療に推奨しているベンザチンペニシリンG(BPG)240万単位/回を含むBicillin L-A製剤ではなく、BPG120万単位とプロカインペニシリンG120万単位の混合物であるBicillin C-Rを使用していた。Bicillin C-Rは皮膚および気道の連鎖球菌感染症が適応となっているが、梅毒治療における効果は不明である。診療所の薬剤部記録をレビューした結果、1998年後期にBicillin L-Aの注文を満たすことができないため代わりにBicillin C-Rの発送を受けたこと、1999年1月―2004年3月には唯一の静注用ペニシリン製剤としてBicillin C-Rを使用していたことが明らかになった。この報告は、その診療所でのBicillin C-R誤用に関する調査結果をまとめたものである。1999年1月―2004年3月、その診療所では梅毒患者429例と梅毒患者あるいはその疑い例との性的接触を報告した234例がBicillin C-Rによる治療を受けていた。梅毒患者は全例男性で、215例(50%)はHIV感染者であった。性的接触者のうち5例(2%)は女性で、10例(4%)はHIV感染者であった。2005年1月26日現在、梅毒患者429例中282例(66%)と連絡がとれ、255例(59%)は再治療を行った。また性的接触者234例中116例(50%)と連絡がとれ、98例(42%)は再検査を行った。この98例中22例(22%)は以前の梅毒感染の血清学的エビデンスがあり、19例(19%)は再治療を行った。この調査結果を受けCDC、FDA、King Pharmaceuticals, Inc.(その系列会社であるMonarch PharmaceuticalsがBicillin C-Rを販売)間で討議が行われ、King PharmaceuticalsはBicillin C-Rによる不注意な梅毒治療を防ぐためにBicillin製品のパッケージとラベルを変更することに同意した。Bicillin製品の不適切な使用を減少させるためには、医療従事者や薬剤師に対し様々なペニシリン製剤の適切な使用について教育することが役立つ可能性がある。
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