病院に関連した百日咳のアウトブレイク－ケンタッキー州、ペンシルベニア州、オレゴン州,2003年

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MMWR抄訳

2005/01/28Vol. 54 / No. 3

MMWR54(3):67－71
Outbreaks of Pertussis Associated with Hospitals - Kentucky, Pennsylvania, and Oregon, 2003

病院に関連した百日咳のアウトブレイク－ケンタッキー州、ペンシルベニア州、オレゴン州,2003年

2003年にケンタッキー州、ペンシルベニア州、オレゴン州の病院で発生した医療従事者(HCW)と患者における百日咳のアウトブレイクを報告する。ケンタッキー州では2003年8月初旬、妊娠26週で出生した入院中の生後2ヶ月乳児において咳と無呼吸が発現した。2日後NICUに移り、7日後に百日咳が疑われ、それから3日後鼻咽頭分泌物がPCR法にてBordetella pertussis陽性であることが明らかになった。本症例にはアジスロマイシンによる治療を行い、NICUでは感染予防策を開始した。この乳児と密接に接触していた医師は乳児への初回曝露から9日後に鼻漏が、その4日後に咳が発現した。症状発現から4日後に採取した鼻咽頭分泌物はPCR法にてB.pertussis陽性であり、培養にてB.pertussisが検出された。この乳児における百日咳の感染源は、乳児の発症の3週間前に百日咳に一致する咳嗽疾患を発症し、乳児のケアを行っていたNICU看護師である可能性が示唆された。この看護師を含むNICU看護師4名の鼻咽頭分泌物について百日咳毒素に対するIgG抗体価を測定した結果、3名で最近のB.pertussis感染が示唆された。曝露患者72名と患者と接触したHCW72名にアジスロマイシン予防投与を行った。ペンシルベニア州では2003年9月初旬に生後3週の乳児が5日間続く咳と咳後嘔吐、発熱を主訴としてA病院小児科を受診した。鑑別診断で百日咳は考慮されず、感染予防策も実施されなかった。患者は翌日転院し、その病院で鼻咽頭分泌物よりB.pertussisが分離された。A病院でこの乳児のケアを行ったB医師は曝露から9日後に咳が発現したが、症状発現後もマスクをつけずに患者の治療を続け、他のHCW、家族、友人と接触していた。初回曝露から22日後、B医師の鼻咽頭分泌物はB.pertussisDNA陽性を示した。さらに、A病院でこの乳児と接触したHCW7名が百日咳に感染しており、これらHCWとの接触者9名は14日以上続く咳嗽疾患を有していた。B医師の診察を受けていた小児2名はB.pertussisDNA陽性であった。さらなる伝播を防ぐため、咳嗽疾患を有する曝露職員をスクリーニングし、全ての症候性HCWにアジスロマイシン治療を、またその接触者に予防投与を行った。オレゴン州では2003年9月下旬にC医師が生後12ヶ月のPCR確定百日咳患児の治療を行った。C医師は9月中旬から咳嗽疾患が続いている同僚と接触していた。この同僚はその後抗体価の検査にて最近の百日咳感染が示唆された。乳児の治療から約2週間後、C医師は咳嗽疾患が発現し、その2週間後鼻咽頭分泌物がB.pertussis陽性を示した。C医師はアジスロマイシン治療を受けた。C医師の接触者129名中B.pertussis陽性の1名と百日咳様疾患を呈していた3名にはアジスロマイシン治療を行い、残り125名には予防的投与を行った。その後さらに百日咳3名が確認されたため、感染例にはアジスロマイシン治療を行い、その接触者には予防投与を行った。病因不明の急性呼吸困難あるいは咳嗽疾患がみられる患者の評価と管理を行う際には、院内感染予防策を遵守することが重要である。

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