ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)難民小児における血中鉛濃度の上昇-ニューハンプシャ・・・
2005/01/21Vol. 54 / No. 2
MMWR54(2):42-46
Elevated Blood Lead Levels in Refugee Children - New Hampshire, 2003-2004
アメリカではスクリーニング検査の普及から、1―5歳児の血中鉛濃度(BLL)は低下傾向にあるが、難民小児では依然高値(10μg/dL以上)を示す小児が多い。2000年にニューハンプシャー州にてスーダンからの難民小児が鉛中毒で死亡して以来、New Hampshire Department of Health and Human Services(NHDHHS)は鉛検査のガイドラインを確立した。このガイドラインではニューハンプシャー州に移住後3ヶ月以内に、生後6ヶ月から15歳の小児を対象に毛細血管スクリーニング検査を行い、6歳未満の小児は初回検査から3―6ヶ月以内に静脈検査を実施することを定めている。2003年10月1日―2004年9月30日において、ニューハンプシャー州に移住した難民小児242名[うちアフリカ人238名(98%)]であった。このうち、2回の検査を受けていた小児は92名(38.0%)であり、うち13名(14.1%)は2回とも、10名(10.9%)は初回検査時のみ、27名(29.3%)は追加検査時のみBLL高値を示し、2回とも正常であった小児は42名(45.7%)であった。また、113名は初回スクリーニング検査のみを受け、32名は検査を一度も受けていなかった。検査施行日および検査時BLLは、初回スクリーニング検査では移住後22(7―77)日、8.1(2―28)μg/dL、追加検査では移住後89(35―188)日、18.6(10―63)μg/dLであった。BLLが15μg/dL以上を示した小児を持つ9世帯の家庭訪問調査では、8世帯が1978年以前に建てられた集合住宅に居住しており、うち7世帯は環境調査の結果、鉛摂取の危険があると判断された。また、6世帯で子供が食べ物以外のものを口にする、塗料や石膏などに触れる機会がある、絵の具が塗られたものをなめるなど、鉛を摂取する可能性のある行動をとると回答した。検査未実施であった小児5名を検査したところ、BLLは33.8(17―72)μg/dLと高値を示し、72μg/dLの小児は早急にキレート療法が行われた。2004年、アメリカでは7歳未満の難民小児9,333名(うち58.3%はアフリカ)が49州に移住しており、他の州もこれら小児に対するBLL検査をCDCとともに検討している。
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