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MMWR抄訳

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2004/11/26Vol. 53 / No. 46

MMWR53(46):1086-1089
Two Cases of Hantavirus Pulmonary Syndrome - Randolph County, West Virginia, July 2004

ハンタウイルス肺症候群の2例-西バージニア州,ランドルフ郡,2004年7月

ハンタウイルス肺症候群(HPS)はげっ歯類を保有宿主とするHantavirus属のウイルスによって起こるまれな心肺疾患である。ヒトへの感染は、げっ歯類あるいはその排泄物との直接接触やエーロゾル化された感染物質の吸引により起こる。2004年7月、西バージニア州ランドルフ郡の約12マイル離れた場所で曝露されたと思われるHPV2例が報告された。この報告ではこの2例の経過と疫学および環境調査の結果を紹介し、HPSの疫学、診断、治療、予防法を示す。1例は32歳男性で、前夜からの発熱と咳、胸痛を主訴として救急部(ED)を受診し、X線検査にて肺炎所見を認めた。積極的な支持療法にもかかわらず病状は悪化し、3日後に死亡した。血清および脾臓生検検体の抗体検査およびRT-PCR検査にてハンタウイルス陽性であることが明らかになった。本症例は研究のため小型げっ歯類を捕獲したり毎日マウスを取り扱ったりしており、しばしば咬まれていた。またマウスに触れた後に手を洗わないこともあった。2例目は41歳男性で、重度の頭痛を主訴としてEDを受診し、X線検査にて肺炎とうっ血性心不全を認めた。抗生物質の投与や機械的人工換気などを行ったところ、入院後5日目から症状が改善し始め、徐々に回復した。血清学的検査にてハンタウイルス抗体陽性であることが明らかになった。本症例は週末に行ったログキャビンで手袋をせずにマウスやその排泄物の処理を行っていた。この2例は一時的に地理的に近い場所にいたが、げっ歯類との接触以外共通の曝露源はなかった。8月3―6日、CDCとWest Virginia Department of Health and Human Resourcesは1例目の家およびその周辺、げっ歯類を捕獲していた森の一部、2例目のキャビンとその周辺でげっ歯類を捕獲し、調査を行った。捕獲した15匹マウスのうち1匹のマウスでハンタウイルス抗体が検出された。医師および市民はHPSのリスクとそのリスクを軽減させる方法について教育を受ける必要がある。

References

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  • CDC. Hantavirus pulmonary syndrome (HPS): 1996 case definition. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2004. Available at <http://www.cdc.gov/epo/dphsi/casedef/hantaviruscurrent.htm>.
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  • Simonsen L, Dalton MJ, Breiman RF, et al. Evaluation of the magnitude of the 1993 hantavirus outbreak in the southwestern United States. J Infect Dis 1995;172:729-33.
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