ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)世界貿易センター避難試験の予備結果―ニューヨーク市・・・
2004/09/10Vol. 53 / No. 35
MMWR53(35):815―817
Preliminary Results from the World Trade Center Evacuation Study - New York City, 2003
2001年9月11日の世界貿易センター(WTC)テロの際、約13,000―15,000名がWTCの2棟から避難した。2002年、Mailman School of Public Health at Columbia University およびCDCはWTCからの避難に影響を与えた因子について評価するため質的、数量的な調査研究を実施した。2003年に56名の当事者(23―61歳、男性31女性25、白人42、黒人7、アジア人1、ラテンアメリカ系4)の質的データが第I相試験のために集められ、避難経路の判断と実際の避難行動に及ぼす因子について分析された。これらのデータは第II相試験に利用される。個人的因子としては大人数が利用できる非常階段の位置の把握、WTCからの避難の経験(非常階段や外路へ通じる非常口の位置の認識)、上司の許可なく仕事場を離れることへの懸念、どこで何が起きていて、どうすべきかについての情報が挙げられ、避難を決意してから電話をかける、コンピューターをオフにする、私物を集めるなどの土壇場での行動や避難経路の選択(階段かエレベータ)による避難の遅れ、さらに身体的理由や履いていた靴による判断の遅れなどが報告された。組織的因子としては職場の避難計画や避難訓練、不適切な危険に関する伝達(ノースタワーへの飛行機衝突後、サウスタワーではその場に留まるようアナウンスがあった)、建物の環境的因子として瓦礫などによる避難経路の遮断、避難する人の1ヶ所への集中、館内放送システム、エレベータの電話システムおよび電話システムなどの通信バックアップシステムの不備などが挙げられた。また、参加者の避難経験や非常時の訓練は職業により大きく異なり、サービス労働者や派遣労働者の避難手順の知識が不足していた。
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