一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)透析に関連した西ナイルウイルス伝播の可能性-ジョー・・・

MMWR抄訳

rss

2004/08/20Vol. 53 / No. 32

MMWR53(32):738-740
Possible Dialysis-Related West Nile Virus Transmission - Georgia, 2003

透析に関連した西ナイルウイルス伝播の可能性-ジョージア州,2003年

2003年10月、Georgia Division of Public Health(DPH)は西ナイルウイルス(WNV)疾患確定例2例(患者A、患者C)の報告を受けた。これら2例は同じ郡の居住者で、同日に同じ透析器で血液透析を受けていた。この郡で報告された2003年のWNV疾患確定例は、この2例のみであった。この透析センターの記録をレビューしたところ、同日にさらに1例(患者B)が同じ透析器で血液透析を受けていた。この報告は、疫学的調査結果をまとめたものである。患者Aは高血圧と末期腎疾患歴のある77歳男性で、8月下旬に透析を受けた。透析から8日後、48時間続く発熱、悪寒、錯乱、食欲不振のため入院し、血清学的検査にてWNV抗体価上昇などを認めた。入院9日後に解熱し、退院した。患者Bは2型糖尿病、末期腎疾患、高血圧歴のある71歳女性で、患者Aと患者Cの間に同じ透析器で透析を受けた。透析後なんの症状もみられなかったが、透析から42日後に行った血清学的検査の結果は過去のWNV感染を示唆した。患者Cは2型糖尿病、高血圧、アルコール中毒、末期腎疾患、前立腺癌歴のある60歳男性であった。透析から19日後、発熱、悪寒、精神状態変化などを主訴として入院した。脳脊髄液の検査にて髄液細胞増加と蛋白レベル上昇を認め、脳のCT所見は両側ラクナ梗塞、白質変化、皮質・皮質下萎縮を示した。血清学的検査にてWNV抗体価の上昇などを認めた。入院20日後、高熱と呼吸不全のため死亡した。DPHと地域健康局は透析センターの調査を行ったが、感染源は特定できなかった。透析時にWNVが伝播する可能性があるため、血液透析センターは適切な感染予防対策を厳密に遵守する必要がある。

References

  • Pealer LN, Marfin AA, Petersen LR, et al. Transmission of West Nile virus through blood transfusion in the United States, 2002. N Engl J Med 2003;349:1236-45.
  • Iwamoto M, Jernigan DB, Guasch A, et al. Transmission of West Nile virus from an organ donor to four transplant recipients. N Engl J Med 2003;348:2196-203.
  • CDC. Possible West Nile virus transmission to an infant through breastfeeding -Michigan, 2002. MMWR 2002;51:877-8.
  • CDC. Intrauterine West Nile virus infection-New York, 2002. MMWR 2002;51:1135-6.
  • Alter MJ, Tokars JI, Arduino MJ, Favero MS. Control of infections associated with hemodialysis. In: Mayhall CG, ed. Hospital Epidemiology and Infection Control, 3rd edition, Philadelphia, Pennsylvania: Lippincott Williams & Wilkins, 2004.
  • El Sayed NM, Gomatos PJ, Beck-Sague CM, et al. Epidemic transmission of human immunodeficiency virus in renal dialysis centers in Egypt. J Infect Dis 2000;181:91-7.
  • Velandia M, Fridkin SK, Cardenas V, et al. Transmission of HIV in dialysis centre. Lancet 1995;345:1417-22.
  • Dyer E. Argentinian doctors accused of spreading AIDS. BMJ 1993;307:584.
  • CDC. Recommendations for preventing transmission of infections among chronic hemodialysis patients. MMWR 2001;50(No. RR-5).
  • Horl WH. Neutrophil function and infections in uremia. Am J Kidney Dis 1999;33:xlv-xlviii.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ