ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)ポリオ根絶への進展-アフガニスタンとパキスタン,2・・・
2004/07/23Vol. 53 / No. 28
MMWR53(28):634-637
Progress Toward Poliomyelitis Eradication - Afghanistan and Pakistan, January 2003-May 2004
ポリオ根絶に向けた世界的な努力の結果、ポリオが風土病である国の数は2003年末にはアフガニスタンとパキスタンを含む6ヶ国まで減少した。この報告では、2003年1月―2004年5月のアフガニスタンとパキスタンにおけるポリオ根絶活動の実施状況などについて紹介する。両国のルーチンでの予防接種プログラムは未だ不十分であり、2002年の乳児におけるOPV3回接種(OPV3)の接種率はアフガニスタンで48%、パキスタンで63%であったが、2003―2004年の追加予防接種活動(SIA)実施数は両国とも前年に比べ増加した。2003年、パキスタンでは全国予防接種週間(NID)が4回、地域的予防接種週間(SNID)も4回実施され、そのうち3回は対象とした5歳未満の小児人口の50%を超えてカバーした。アフガニスタンでもパキスタンに合わせて4回のNIDと3回のSNIDが実施された。2004年、パキスタンではNIDを3回と、既知のウイルス伝播地域やSIAが不完全な地域、ルーチン接種率が低い地域をターゲットとしたSNIDが1回実施され、アフガニスタンではNIDの2回実施後、南部および南東部の既知のウイルス伝播地域をターゲットとしたワクチン接種が総仕上げとして2回実施された。急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスの質に関しては、15歳未満の小児10万人あたりの非ポリオAFP症例数(目標1例以上)が、パキスタンでは2003年3.0、2004年(5月現在)2.9、アフガニスタンではそれぞれ4.0、4.2であった。また適切な便検体採取を行ったAFP症例の割合(目標80%以上)は、パキスタンでは2003年89%、2004年90%、アフガニスタンではそれぞれ88%、93%であった。確認されたポリオ患者数は、パキスタンでは2002年の33地域90例から2003年には48地域103例に増加した。しかしSIAの実施数増加と活動強化、質の向上により2003年中旬以降患者数は減少し始め、2004年1―5月に確認された患者は16例(野生株ポリオウイルス1型:11、3型:5)であった。アフガニスタンでは2003年に8例(1型:5、3型:3)、2004年には3例(1型:2、3型:1)の患者が確認された。両国では国境を越えた住民の移動頻度が多く、両国間でウイルス移動が続く可能性が高いため、協力してポリオウイルス伝播遮断のために努力し続けなければならない。
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