ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)男性同性愛者におけるフルオロキノロン耐性Neiss・・・
2004/04/30Vol. 53 / No. 16
MMWR53(16)335―338
Increases in Fluoroquinolone-Resistant Neisseria gonorrhoeae Among Men Who Have Sex with Men - United States, 2003, and Revised Recommendations for Gonorrhea Treatment, 2004
アメリカでは毎年約70―80万人がNeisseria gonorrhoeaeに感染している。1993年以降、CDCは淋病治療にフルオロキノロン系薬剤(シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン)の使用を推奨していたが、アジア、太平洋諸島(ハワイを含む)、カリフォルニアにおいてフルオロキノロン耐性N.gonorrhoeae(QRNG)の保菌率が増加したため、フルオロキノロン系薬剤はそれら地域で感染した淋病の治療にはもはや推奨されない。この報告では、男性同性愛者(MSM)間でのQRNG増加を示したマサチューセッツ州、ニューヨーク市、2003年にGonococcal Isolate Surveillance Project(GISP)により調査された30地域のデータを紹介する。GISPは、米国内30ヶ所の性行為感染症(STD)診療所で毎年分離される約5,000例の男性患者由来尿道淋菌の検査を通じてN.gonorrhoeaeの抗菌薬感受性を監視している調査システムである。2003年1―9月に収集された予備的データによると、この期間中のQRNG保菌率は全体で4.2%(2002年:2.2%、2001年:0.7%)、ハワイ州とカリフォルニア州を除いた場合には0.9%(2002年:0.4%、2001年:0.02%)、MSMで4.9%、男性異性愛者で0.4%(2002年:MSM1.8%、男性同性愛者0.2%)であった。マサチューセッツ州では、2003年1―8月に州内の医療施設における患者235例より分離した淋菌249株について抗菌薬感受性試験を行った。このうちQRNGは10.4%(26/249株)を占めた[2002年:2.1%(10/486株)、2001年:0(0/386株)]。このQRNG26株は24例より分離されており、うち22例は男性、2例はQRNG陽性の男性をパートナーに持つ女性であり、7例(29%)はSTD診療所の患者であった。QRNG男性患者22例中4例(18%)は女性とのみ、1例は男女とも、17例(77%)は男性とのみ性行為を行っていた。州のSTD診療所で培養により診断された淋病男性111例のうち7例(6.3%)でQRNGが確認され、QRNG保菌率はMSMで11.1%(6/54例)、男性異性愛者で1.8%(1/55例)であった。ニューヨーク市では、2003年1―7月に10ヶ所のSTD診療所の患者より分離された淋菌643株について抗菌薬感受性試験を行い、このうちQRNGは3.4%(22/643株)を占めた[2002年:0.3%(8/3,196株)、2001年:0.1%(3/3,144株)]。6ヶ所のSTDの患者369例より分離された淋菌394株についての感受性試験では、QRNGは18例(5%)で確認され、このうち17例(94%)は男性、さらに13例(77%)はMSMであった。またQRNG保菌率はMSMで12.5%(14/112例)、男性異性愛者で1.6%(3/183例)、女性で2.4%(1/42例)であった。CDCは、MSMの淋病に対するファーストライン治療としてフルオロキノロン系薬剤を使用しないよう勧告しており、MSMあるいはQRNG保菌率の高い地域での感染が疑われる淋病患者に対しては、セフトリアキソン125mgの筋注あるいはセフィキシム400mgの経口投与(アメリカでは現在入手不能)を推奨している。
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