ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)ある地域病院における結核のアウトブレイク-ワシント・・・
2004/03/19Vol. 53 / No. 10
MMWR53(10):214-216
Tuberculosis Outbreak in a Community Hospital - District of Columbia, 2002
アメリカにおける結核(TB)発生率は約30年間(1985―1992年)低下した後再流行し、いくつかの大規模な院内TBアウトブレイクが起こった。しかし院内TBの発生は、1994年の感染症コントロールガイドライン発布およびその実施により著減していると思われる。2002年4月2日―9月12日、ワシントンDCの大規模地域病院(A病院)で患者および職員の計6名がTBと診断された。発端者は統合失調症およびAIDSの42歳男性であった。彼は3月初旬、発熱と乾性咳嗽の治療のためA病院を入院し、4月2日に便培養法にてMycobacterium tuberculosis増殖が確認されたため、TBと診断され隔離された。接触者の調査を行ったところ、6月21日―9月12日に5例で二次的TB感染が確認された。このうち4例は発端者と同じ病棟の異なる部屋に入院していた35―49歳の男性であり、全例がTB発症リスクを増加させる病態(1例はHIV感染症と糖尿病、1例は糖尿病、2例は末期腎疾患)を有していた。残る1例は同じ病棟のしゃ血専門医の女性であった。6例より分離されたM. tuberculosis株は遺伝子型が一致し、イソニアジドとリファンピンに感受性を示した。3月9日―4月2日にA病院で発端者と接触したことが確認されたのは1,045名(261名[25%]:患者、784名[75%]:職員)であった。ツベルクリン皮膚反応検査(TST)を受けた患者173/261例(66%)中39例が、さらに職員495/784例中(63%)56名が陽性であった。接触者のうちTST陰性のHIV患者には9ヶ月間のイソニアジド投与を勧告した。HIV状態不明のスタッフには任意でHIVカウンセリングと検査を行った。国外出生者および以前TST陽性であった接触者では、過去の治療歴がない場合に治療を行った。M.tuberculosisの伝播防止のため、病院職員はTBと疑われる症例の迅速な確認と治療に注意を払い続ける必要がある。
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