ホームIMICライブラリMMWR抄訳2004年(Vol.53)コウモリの狂犬病によるヒトの死-カリフォルニア,2・・・
2004/01/23Vol. 53 / No. 2
MMWR53(2):33-35
Human Death Associated with Bat Rabies - California, 2003
2003年9月14日、カリフォルニア州Trinity Countyに住む66歳男性が、コウモリに咬まれてから約6週間後に狂犬病で死亡した。この報告は、Trinity and Shasta County Health DepartmentsとCalifornia Department of Health Servicesによる調査結果をまとめたものである。この患者は、2003年9月に非定型的胸痛を主訴としてある病院の救急部を訪れた。その他の症状としては軽度で非特異的な愁訴(眠気、慢性頭痛、倦怠感など)が2週間、右腕の疼痛と感覚異常が5日間続いており、前日から右手の脱力感も発現した。患者は、約5週間前に自宅で右人差し指をコウモリに咬まれ、その時創傷部は洗ったが狂犬病の曝露後予防(PEP)は受けなかったことを報告した。咬傷部位近くの局所症状を伴う狂犬病感染の早期段階であったため、入院当日に狂犬病ワクチン、狂犬病免疫グロブリン、リバビリン、IFN-α、その3日後に2回目の狂犬病ワクチンを投与した。しかしその後錯乱や見当識障害の発現に伴い神経学的状態が悪化し、入院7日目に死亡した。この患者の家族4名と患者の治療に関与した医療関係者2名は狂犬病PEPを受けた。死亡直前の唾液検体はnested RT-PCR法にて狂犬病ウイルス核酸のエビデンス陽性であり、塩基配列分析ではsilver-haired bat(Lasionycteris noctivagans)に関連した狂犬病ウイルス変種と100%の相同性を認めた。ヒトはコウモリに直接接触するのは避けるべきだが、もしも狂犬病の可能性のある動物に咬まれた場合には速やかに創傷部を消毒・洗浄するべきである。また、その動物を安全に捕獲するとともに地域の健康局に連絡し、医師にPEPの必要性について評価を受ける必要がある。
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