ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)イラクにおける戦後のワクチン接種サービス-2003・・・
2003/08/08Vol. 52 / No. 31
MMWR52(31) : 734-735
Vaccination Services in Postwar Iraq, May 2003
戦後のイラクでは、政府関連施設の破壊などにより行政事務に障害が発生しており、公衆衛生システムなどの損害が健康に悪影響を及ぼす危険性がある。2003年5月中旬、Iraqi Ministry of Health(IMoH)はCoalition Provisional Authority(CPA)とUNICEFの支援を受け、予防接種拡大プログラム(EPI)の努力を妨げる障害を評価するために調査チームを派遣した。イラクにおけるワクチン接種は一次健康管理センター(PHCC)が行っているが、調査時ワクチン接種を連日実施するのに十分な設備とスタッフを有していたPHCCは893ヶ所(61%)であった。戦争直前の既知の設備を基準とすると、冷蔵庫1,628台中532台(33%)、冷凍室39室中18室(46%)、一部の設備への電気供給に必要な発電機642機中81機(13%)が損害を受けたことが明らかになった。これら冷蔵関連設備を戦前の80%以上所持していたのは、調査した18統治区域のうち4統治区域のみであった。ワクチン貯蔵に関しては、BCGワクチンはSulaimaniyahでのみ貯蔵されており、HBVワクチン貯蔵はNajaf以外の全統治区域で少なかったが、経口ポリオワクチンとジフテリア・破傷風・百日咳ワクチンは13統治区域で多数貯蔵されていた。イラクの風土病である狂犬病の免疫グロブリンは3統治区域、B型肝炎免疫グロブリンは9統治区域で貯蔵されていた。この調査により、イラクではワクチン接種プログラムに必要な冷蔵関連設備が失われており、ワクチンと免疫グロブリンの適切な供給が崩壊していることが明らかとなった。CPAとIMoHはUNICEFや多くのNGOなどの支援を受け、安全性確保と診療所や研究室の再建、公衆衛生プログラムの再開のために作業を続けている。
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