ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)胎児アルコール症候群-南アフリカ,2001年
2003/07/18Vol. 52 / No. 28
MMWR52(28) : 660-662
Fetal Alcohol Syndrome - South Africa, 2001
胎児アルコール症候群(FAS)は妊娠中の母親のアルコール摂取により発生する予防可能な出生時欠損・発育障害の1つである。アメリカにおけるFAS有病率は生産児1,000人あたり0.3-1.5人である。National Institutes of Alcoholism and Alcohol Abuse(NIAAA)は、南アフリカWestern Capeのあるワイン生産地域における小児(5-9歳)1,000人あたりのFAS有病率が40.5-46.4人と世界最高であることを報告した。FAS高有病率がWestern Capeのワイン生産地域に限定されたものかどうか検討するため、CDCはUniversity of WitwatersrandおよびFoundation for Alcohol Related Researchとともに、南アフリカのヨハネスバーグ近郊Gauteng地方でのFAS有病率について調査した。Gauteng地方4地域にある小学校19校の1年生830名(5-10歳)を対象とし、発育遅延についてスクリーニングした結果、306例(37%)が陽性(身長、体重、頭囲が10パーセンタイル以下)であった。うち275例(90%)についてFAS評価を行い、21例がFAS(16例)あるいはdeferred FAS(5例)と診断した。これら4地域における小学1年生のFAS有病率中央値は小児1,000人あたり19(0-37.5)人であり、FAS+deferred FAS有病率中央値では小児1,000人あたり26.5(11.8-41.7)人であった。以上、FASはワイン生産地域だけでなくヨハネスバーグ近郊でも有病率が高く、南アフリカにおける重大な健康問題であることが確認された。南アフリカは財源が限られており、HIV/AIDS、結核、性感染症など多くの健康上の問題があるため、女性に対する出生前アルコール曝露予防活動やFAS小児に対する介入プログラムはほとんど存在していない。今回実施したFASのスクリーニングおよび患者同定法はハイリスク地域の確認に有用である。
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