ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)最新情報:重症急性呼吸器症候群(SARS)-アメリ・・・
2003/06/06Vol. 52 / No. 22
MMWR52(22) : 525-526
Continuing Education Update: Severe Acute Respiratory Syndrome - United States, June 4, 2003
CDCはWHOなどとともに重症急性呼吸器症候群(SARS)患者について調査を続けている。世界各地とアメリカのSARS患者に関する情報を更新し、CDCのシンガポールと香港への渡航勧告の変更とアメリカでの暫定的SARS患者定義の変更を紹介する。2002年11月1日-2003年6月4日、WHOにはアメリカを含む29ヶ国から8,402例のSARS患者が報告され、うち772例が死亡した(死亡率9.2%)。アメリカでは41州とプエルトリコから373例のSARS患者が報告されている。うち306例(82%)は疑い例、67例(18%)は可能性例(肺炎や急性呼吸窮迫症候群を有する重度の疾患)に分類された。前回の更新以降、新たに可能性例1例と疑い例9例が確認されたが、SARS関連死は報告されなかった。可能性例中65例(97%)は発症前10日間にSARS関連地域への渡航歴があり、残る2例(3%)はSARS患者を治療した医療従事者とSARS患者と接触した家族であった。検査にてSARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)感染が確認された患者数は7例(可能性例)と、前回の更新から増加はみられていない。CDCはサーベイランスデータに基づき、香港への渡航情報を勧告から注意に評価を引き下げ、シンガポールへの渡航注意を解除した。それに伴い、アメリカでの暫定的患者定義の渡航曝露に関する疫学的基準も変更され、シンガポールへの渡航者は注意が解除されてから10日以内に症状が発現した場合のみサーベイランス上の患者定義に合致することとした。これらの変更はサーベイランスのためだけのものであり、原因不明の呼吸器症状がみられる患者が確認された場合には臨床的判断に従い患者の管理などを行う必要がある。
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