ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)スイミングプール査察による調査データ-選択州および・・・
2003/06/06Vol. 52 / No. 22
MMWR52(22) : 513-516
Surveillance Data from Swimming Pool Inspections - Selected States and Counties, United States, May-September 2002
アメリカでは1980年代よりプールでの遊泳による感染症(RWIs:クリプトスポリジウム症、ランブル鞭毛虫症、細菌性赤痢など)のアウトブレイクが増加傾向にあることから、遊泳施設の定期的な査察が実施されている。2002年5月1日-9月1日に行った国内6州22,131ヶ所(ペンシルベニア州713、フロリダ州19,604、カリフォルニア州1,606、ミネソタ州90(セントルイス34、セントポール56)、ワイオミング州118施設)のプール査察データの分析結果を報告する。査察項目は査察日、プールタイプ(ホテル/モーテル、寮/アパート、学校/大学、民間のクラブ、幼児用プール、親水公園、医療/治療用プール、キャンプ場プール)、水質データ(遊離塩素、pH)、濾過/再循環システム(フィルター、水の回転率)、実行/管理データ(検査キット、記録の保管、プール管理教育、ライセンス)に関するものとした。22,131施設の約半数(45.9%)に違反はなかったが、残る54.1%から計21,561件(1施設あたり1-12件)の違反が報告された。違反のほとんどはホテル/モーテル(67.5%)から報告され、重大な違反(消毒薬の無使用)を犯していた8.3%に施設閉鎖措置が取られた。違反の内訳は、水質38.7%、濾過/再循環システム38.6%、実行/管理22.7%であった。遊離塩素濃度違反は幼児用18.4%-公営4.5%、pH違反は幼児用16.7%-親水公園4.7%とプールタイプにより差が認められた。水質基準を満たす幼児用プールはわずか8%にすぎず、これはおむつをつけている幼児が原因と考えられた。濾過/再循環システム違反は公営76.8%-キャンプ場34.0%で、プール管理教育に関する違反は寮/アパートが最も多かった。このような査察は年1-3回程度実施されるのみであるため、RWIsの予防には、下痢などの症状がある場合プールに入らない、プールの水を飲まない、幼児のおむつ交換などの衛生的な注意を払うなど、使用者の衛生的な意識が重要となる。
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