ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)最新情報:重症急性呼吸器症候群(SARS)-アメリ・・・
2003/05/30Vol. 52 / No. 21
MMWR52(21) : 500-501
Update: Severe Acute Respiratory Syndrome - United States, May 28, 2003
CDCはWHOなどとともに重症急性呼吸器症候群(SARS)患者について調査を続けている。世界各地とアメリカのSARS患者に関する情報を更新し、アメリカでの7例目の検査確認例を報告する。2002年11月1日-2003年5月28日、WHOにはアメリカを含む28ヶ国から8,240例のSARS患者が報告され、うち745例が死亡した(死亡率9.0%)。アメリカでは41州から363例のSARS患者が報告されている。うち297例(82%)は疑い例、66例(18%)は可能性例(肺炎や急性呼吸窮迫症候群を有する重度の疾患)に分類された。可能性例中43例(65%)は入院し、2例(3%)は機械換気が必要であったもののSARS関連死は報告されなかった。可能性例中64例(97%)は発症前10日間にSARS関連地域への渡航歴があり、残る2例(3%)はSARS患者を治療した医療従事者とSARS患者と接触した家族であった。前回の報告以降、カナダのトロントで新たにSARS患者が報告され、CDCは再度トロントへの渡航警告を出した。SARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)に対する抗体を確認する血清学的検査は可能性例32例(48%)で行われ、7例が陽性であった。これら7例中4例は発症から12日以内に血清学的に陽性となった。残る3例はそれぞれ4、6、14日目の血清学的検査では陰性であったが、28、25、41日目は陽性であった。新たに確認された1例については発症後14日目に採取した喀痰検体からRT-PCR法にてSARS-CoV由来RNAを検出し陽性を確認した。この患者は血清学的に陽性の6例中1例と接触した家族であり、以前、臨床的、疫学的基準に基づきSARS可能性例として報告されていた。血清学的検査を行った疑い例111例(37%)では抗体は検出されていない。CDCはSARS-CoV特異的総IgG、IgM、IgA抗体をELISAとIFA(間接的免疫蛍光抗体法)で測定しており、両検査で陽性の場合に血清検体陽性としている。他のヒトおよびヒト以外のコロナウイルスに対する抗体はこれら測定法には反応せず、SARS-CoV非感染者384例の血清は全て陰性であった。これら所見は、SARS-CoVが最近発生し、血清学的検査はSARS-CoVに対する抗体の検出に特異的で偽陽性率が低いことを示す。可能性例66例中40例(61%)で回復期血清が採取されたが、回復期血清の検査はSARS-CoV感染確認に非常に重要であるため、発症後21日目以降の検体を採取する必要がある。
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