一般財団法人 国際医学情報センター 信頼できる医学・薬学・医療情報を適切に提供することによって健康社会に貢献します。

一般財団法人 国際医学情報センター

IMICライブラリ IMIC Library

ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)重症急性呼吸器症候群(SARS)とコロナウイルスの・・・

MMWR抄訳

rss

2003/04/11Vol. 52 / No. 14

MMWR52(14) : 297- 302
Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) and Coronavirus Testing - United States, 2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)とコロナウイルスの検査法-アメリカ,2003年

CDCとWHOは多くの国々で大発生している重症急性呼吸器症候群(SARS)について調査を続けている。2003年4月9日現在、WHOにはアメリカを含む16ヶ国から2,722例のSARS患者が報告されており、うち106例が死亡した(死亡率3.9%)。SARSの原因として新種のコロナウイルスの可能性が示唆されている。アメリカにおけるSARS患者の情報を更新し、渡航に関する勧告、感染コントロールガイドライン、診断検査法の開発状況を示すとともに、検査にて新種コロナウイルスの感染エビデンスが明らかになったアメリカのSARSが疑われる5例の臨床経過を要約する。2003年4月9日現在、アメリカではSARSが疑われる患者が30州から166例(成人:135例)報告されている。うち154例(93%)は発症10日前までにSARS患者が確認された地域に旅行していた。また9例(5%)は家族がSARSが疑われる患者と接触しており、3例(2%)はSARSが疑われる患者を治療した医療従事者であった。ほとんどの患者で胸部X線像は正常であり、33例(20%)で肺炎または呼吸窮迫症候群が認められた。4月9日現在、24時間以上入院した60例(36%)中4例(7%)が未だ入院中であるが、死亡例は報告されていない。4月3日、CDCはコロナウイルス陽性であったSARS患者5例(男性:2, 女性:3, 22-53歳)を報告した。これら5例は全例入院を要する肺炎を呈しており、市中感染が発生している国に最近旅行していた。2例は香港の同一ホテルで曝露されたが、5例全例における単一の共通曝露源は見出せなかった。新種のコロナウイルスによる感染エビデンスはいくつかの国のSARSが疑われる患者例でも確認されている。これら患者の共通点としては、発熱と呼吸器症状を有していること、臨床検査値はほとんどが正常範囲内であること、呼吸器系疾患の病原体に対し広域スペクトルの抗生物質投与を受けたことなどがある。しかしSARSと他の起炎菌による肺炎とを明確に区別する特徴的な初期徴候や症状は現在報告されておらず、新種コロナウイルスがSARSの主要原因であるというエビデンスは蓄積されているもののその関係も十分に確立されていない。また、コロナウイルスの検査法も未だ開発中であるため、さらなる検討と疫学的データが必要である。

References

  • CDC. Update: outbreak of severe acute respiratory syndrome-worldwide, 2003. MMWR 2003;52:241-8
  • World Health Organization. Case definitions for surveillance of severe acute respiratory syndrome (SARS). Available at <http://www.who.int/csr/sars/casedefinition/en>.
  • World Health Organization. Cumulative number of reported cases of severe acute respiratory syndrome (SARS). Available at <http://www.who.int/csr/sarscountry/2003_04_02/en>.
  • Poutanen SM, Low DE, Henry B, et al. Identification of severe acute respiratory syndrome in Canada. N Eng J Med. Available at <http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa030634v1>.
  • World Health Organization. Summary on major findings in relation to coronavirus by members of the WHO multi-centre collaborative network on SARS aetiology and diagnosis. Available at <http://www.who.int/csr/sars/findings/en>.
  • Peiris JSM, Lai ST, Poon LLM, et al. Coronavirus as a possible cause of severe acute respiratory syndrome. Lancet 2003. Available at <http://www.thelancet.com/journal/vol361/iss9364/full/llan361.9364earlyonlinepublication.25242.1>.
  • Lee N, Hui D, Wu A, et al. A major outbreak of severe acute respiratory syndrome in Hong Kong. N Engl J Med 2003. Available at <http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa030666v1>.
  • Tsang KW, Ho PL, Ooi GC, et al. A cluster of cases of severe acute respiratory syndrome in Hong Kong. N Eng J Med 2003. Available at <http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa030666v1>.
  • Hayden FG. Antiviral drugs (other than antiretrovirals). In: Mandell GL, Bennett JE, Dolin R, eds. Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 5th ed. Philadelphia, Pennsylvania: Churchill Livingstone, 2000.

ページトップへ

一般財団法人 国際医学情報センター

〒160-0016 
東京都新宿区信濃町35番地 信濃町煉瓦館
TEL:03-5361-7080 (総務課)

WEBからのお問い合わせ

財団や各種サービスについてのお問い合わせ、お見積もりのご依頼、
サービスへのお申し込みはこちらをご覧ください。

お問い合わせ