ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)最新情報:重症急性呼吸器症候群(SARS)-世界各・・・
2003/03/28Vol. 52 / No. 12
MMWR52(12) : 241- 248
Update: Outbreak of Severe Acute Respiratory Syndrome - Worldwide, 2003
3月26日現在、世界保健機構(WHO)に報告された重症急性呼吸器症候群(SARS)が疑われる症例は1,323例(世界14地域:うち死亡49例、致死率4%)で、中国広東省では2002年11月16日-2003年2月28日に792例(うち死亡31例)報告された。3月25日現在、香港衛生局に報告されたSARSが疑われる症例は290例であった。中国広東省から香港のホテルMに滞在していた男性と、男性と接点があったホテルMの宿泊客2名、ホテルMを訪れた10名が香港やその他の地域でのSARS発症の感染源と確認された。香港ではこれら患者が入院した病院7施設で院内感染が発生した他、患者の家族での発症が認められ、さらにこれら患者とハノイ、タイ、シンガポール、ドイツ、トロントでの発症との関連性が疑われている。3月24日現在、ハノイのベトナム衛生省に報告されたSARSが疑われる症例は59例で、感染源として香港のホテルMに宿泊した47歳男性がハノイにて発症したことが考えられた。この男性が入院した病院の医師に二次感染が認められている。3月23日現在、タイ公衆衛生省には4例が報告され、うち3例は香港への旅行客、残る1例は前述のハノイの病院の医師であった。3月25日現在、台湾衛生局に報告された症例は6例で、うち4例は中国広東省または香港への旅行客、残る2例はその家族であった。3月26日現在、アメリカでは感染の疑いがある51例(21州)がCDCに報告された。最初に感染したと疑われる症例はシンガポールへ旅行した53歳男性で、その他に中国広東省、香港(ホテルMに滞在)、ベトナムへの旅行客やその家族、患者が入院した病院の医師に感染の疑いがもたれている。3月24日、CDCはSARSが疑われる患者について分析し、タイおよび香港の症例から新型のコロナウイルスを分離したと発表した。WHOも同様の結果を報告しているが、異なるタイプのヒトメタニューモウイルスも分離されており、調査は現在継続中である。感染経路は主に飛沫感染や接触感染と考えられているが、空気感染の可能性もあり、未だ特定には至っていない。感染は世界的に拡大しつつあり、感染源や感染経路の解明に世界的な協力体制がとられている。
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