ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)ワイルドゲーム(狩猟)フェスタ参加者における致死的・・・
2003/02/21Vol. 52 / No. 07
MMWR52(7) : 125- 127
Fatal Degenerative Neurologic Illnesses in Men Who Participated in Wild Game Feasts - Wisconsin, 2002
1993-1999年、ウイスコンシン州北部において男性3名が狩猟で捕獲した動物の肉を食し、退行性神経疾患により死亡した。症例1)1992年12月、66歳の男性がてんかん、健忘症、手の振戦などの症状を呈し、翌年2月、錯乱、運動失調、動作時振戦により入院した。MRIでは下位傍矢状後頭葉病変、EEGでは進行性脳症を認め、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)と診断され数ヶ月後死亡した。神経病理学的所見にてCJDに一致する亜急性海綿状脳症を認めた。男性は1976年からウイスコンシン州北部やモンタナ州で狩猟し、所有する山小屋で頻繁に獲物のシカ肉を食していた。National Prion Disease Pathology Surveillance Center(NPDPSC)による検査では、プリオン病を示唆する所見は得られなかった。症例2)1999年5月、ミネソタ州在住の55歳の男性が筆記障害、歩行不安定を呈し、6月には痴呆、言語障害、ミオクローヌスが認められたため入院した。EEG所見からCJDと診断され、7月に症状が悪化、右上肢ジストニアを来し死亡、神経病理学的所見もCJDと一致した。男性は狩猟はしなかったが頻繁にシカ肉を食した。ワイルドゲームフェスタへも12回参加したが、1980年代以降は1回のみであった。NPDPSCによる免疫組織染色およびウエスタンブロット法によりプリオン病が認められた。症例3)1992年6月、ウイスコンシン州在住の65歳の男性が言語障害、記憶障害、人格障害を呈し1993年1月にピック病と診断された。5月には日常生活が不能となり、1993年8月に死亡した。神経病理学的所見では対側性前頭葉大脳皮質萎縮および側頭葉軽度萎縮を認めた。NPDPSCによる検査ではCFDを呈する病変は認められなかった。この男性は症例1によるワイルドゲームフェスタでシカ肉を食し、ウイスコンシン州の他にワイオミング州、ブリティッシュコロンビア州(カナダ)でも狩猟していた。ワイルドゲームフェスタに参加した可能性のある本人および家族からの聞き取り調査では、情報が得られた45例中34例がワイルドゲームフェスタに参加、うち7例が死亡(上記3例を含む)した。慢性消耗性疾患(CWD)である感染性海綿状脳症(TSE)に感染した野生のシカ肉が感染源と考えられる。なお、症例2は因果関係が明らかでなかった。
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