ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)コクシジオイデス真菌症の増加-アリゾナ,1998~・・・
2003/02/14Vol. 52 / No. 06
MMWR52(6) : 109- 112
Increase in Coccidioidomycosis - Arizona, 1998-2001
コクシジオイデス真菌症はアメリカ南西部、メキシコの一部、南アメリカ中央部の土壌中に生息するCoccidioides immitisの分節分生子の吸入により肺感染する全身性感染症である。臨床症状としては約40%の症例がインフルエンザ様症状(ILI)を呈し、その他、重度の肺炎、まれに肺外播種性疾患を来す。2001年、Arizona Department of Health Services(ADHS)は1995年以来186%の増加となるコクシジオイデス真菌症2,203例[2001年;人口10万人あたり43例、1998年;1,551例(10万人あたり33例)]について報告し、これを受けCDCはNational Electronic Telecommunications System for Surveillance(NETSS)、Arizona Hospital Discharge Database(AHDD)、さらに環境や気候データを分析しコホート研究を行った。コクシジオイデス真菌症は65歳以上の高齢者での発症率が高かった(2001年;10万人あたり79例)。また若年者では増加率が大きく、20歳未満では121%の増加(10万人あたり1998年;5例から2001年;11例)を認めた。季節による発症率の変動は、冬季にピークを認め、その間1年を通じベースラインは維持された。2001年におけるコクシジオイデス真菌症による入院者数は598例(1998年 : 69例)であった。コホート研究では208例を無作為に抽出し、電話による聞き取り調査を行い(回答数196)、発症時期および発症年を4群(各群43-56例)に分けた。結果、コクシジオイデス真菌症の発症要因との関連は認められなかった。地理情報システム(GIS)による最も人口の多いMaricopa郡における高発症地域の検索では、州都フェニックス周辺地域で発症率が高いことが判明した。また気候条件と発症率との関連性を検討した結果、前7ヶ月間の累積降雨量、前3ヶ月間の平均気温、前月の塵埃量、前7ヶ月間に対する前2ヶ月間の総降雨量の割合に高い相関性を認めた。以上より、本疾患に対しては有効な感染予防策を講じ、アリゾナで冬季にILIを発症した場合にはコクシジオイデス真菌症を疑い早急に受診することが重要であると考えられた。
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