ホームIMICライブラリMMWR抄訳2003年(Vol.52)ヒト狂犬病-アイオワ,2002年
MMWR抄訳
2003/01/24Vol. 52 / No. 03
MMWR52(3) : 47- 48
Human Rabies - Iowa, 2002
ヒト狂犬病-アイオワ,2002年
アイオワ州で1951年以来初となるヒト狂犬病の報告。症例はアイオワ州リン郡在住の20歳の男性で、2002年9月16日、悪心、嘔吐、腹痛、息切れ、頭痛、背部硬直を主訴として救急部を受診した。多量に飲酒しており、症例がアルコール中毒を心配していたため制吐剤、抗不安剤、頭痛薬を処方し帰宅させた。翌日、同症状に加え敵対感、妄想、幻覚が出現したため再度来院し、薬物の副作用または禁断症状の疑いがあると診断され入院となった。その後症状は悪化し、発熱や振戦が出現した。9月19日には人工呼吸器によるサポートを開始し、脳炎に対する治療を行った。9月23日、神経学的障害が出現し、画像検査にて初期ヘルニア形成を認めた。頭蓋内圧を低下させるための手術とともに脳生検を行ったが9月28日に死亡した。9月27日に採取した項部組織生検では直接蛍光抗体法にて狂犬病ウイルス抗原陽性が示された他、RT-PCR法にて狂犬病ウイルスRNAが検出された。死後の脳幹および小脳標本の検査より狂犬病の確定診断に至った。DNA配列より、このウイルス変種はシルバーコウモリ(Lasionycteris noctivagans)およびアメリカトウブアブラコウモリ(Pipistrellus subflavus)にみられる変種に最も似ていることが明らかになった。本症例における感染源は不明であった。その後、本症例の家族および関係者53名と病院関係者71名が狂犬病の暴露後予防を受けた。コウモリはヒト狂犬病の感染源となり得るため、居住地域でコウモリをみかけた場合には、地域の公衆衛生研究所で狂犬病検査を受けるべきである。
References
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