ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)熱帯性糖尿病性手症候群-ダルエスサラーム,タンザニ・・・
2002/11/01Vol. 51 / No. 43
MMWR51(43) : 969- 970,2002
Tropical Diabetic Hand Syndrome - Dar es Salaam, Tanzania, 1998-2002
タンザニアの首都ダルエスサラームのMuhimbili Hospital(MNH)における熱帯性糖尿病性手症候群(TDHS)72例に関する調査報告。TDHS例は1998年2月9日-2002年8月22日の間に手蜂窩織炎、感染症、壊疽によりMNHを受診した成人糖尿病例とした。計72例[男性36女性36、平均年齢52(20-89)歳]のうち、II型糖尿病例は44例(61%)、罹病期間は5年(2週間-19年)、平均肥満指数は23.4kg/m2、血中グルコース量は中央値280mg/dL、末梢神経障害は10例(14%)に認めた。初期診断は手外傷(26%)、虫さされ(15%)、炎症性の腫れ物(14%)、非侵害性丘疹(13%)など様々であった。全例手潰瘍形成を認め、61例(85%)は化膿しており、23例(32%)は骨部に達し、17例(24%)は腕に局在または広範的な壊疽を認めた。症状発症から初回受診までの日数は14(2-252)日であった。表面塗布標本培養ではStreptococcus spp.、Staphylococcus aureus、S.epidermidis、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Escbericbia coli、Proteus mirabilisが検出された。症状発現から初診までの期間が14日以上の例では入院後の外科手術施行率が高く[相対危険率(RR)1.8]、長期手奇形率も高かった(RR=2.0)。また、血中グルコース280mg/dL以上の例も外科手術施行率が高く(RR=1.7、11/37)、壊疽を来した例の2倍以上であった(5/35)。全例抗生物質投与を受け、手術例は36例(50%)、壊疽を来した例は16例(うち7例(44%)は指、手または腕を切断)、29例は切開、排膿および壊死組織切除を行った。追跡例64例(89%)のうち51例(80%)は潰瘍および炎症治癒、8例(13%)は非治癒、5例(8%)が死亡した。追跡期間中、33例(52%)が日常生活に支障を来す手機能障害を来した。治癒例のうち20例(39%)は慢性的な重度の神経障害性疼痛を報告している。TDHS発症率あるいは死亡率の低下には、早期発見、早期治療、血中グルコース値の改善が必要である。
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