ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)最新情報 : 臓器移植および輸血レシピエントにおけ・・・
2002/09/20Vol. 51 / No. 37
MMWR51(37) : 833- 836,2002
Update : Investigations of West Nile Virus Infections in Recipients of Organ Transplantation and Blood Transfusion
同一ドナーからの臓器移植レシピエント4名における西ナイルウイルス(WNV)感染が確認されて以来、輸血から4週以内にWNV関連髄膜脳炎(WNME)が疑われる症例がさらに報告され、現在その感染源の特定の調査が進行している。調査1 : 8月1日、ドナーから4臓器がそれぞれのレシピエントに移植され、3例にてWNMEが確診され、1例はWNV熱を発症している。症状は移植後7-17日に発症、臓器回収時点でのドナー血清サンプルはWNV陽性であるが、感染源は不明である。ドナーは合計63ドナーからの血液を輸血されており、うち41ドナーを検査した結果、22名はWNV陰性、19名は動力学的定量PCR法(TapMan)でWNV陰性を示し、現在血清学的検査を行っている。また、これら63ドナーから成分輸血を受けた35名に関しては未調査である。 調査2 : 47歳男性、肝移植(8月14日)後7日間にわたり39Uの輸血を受けた後、発熱から脳症を来し再入院した。腰椎穿刺によりタンパク質、リンパ性髄液細胞増加およびWNV IgM抗体の上昇が確認されたが、症状は快復し退院に至っている。ドナーはアルブミン(2U)および新鮮凍結血漿(FFP、1U)輸血を受けており、腎臓が移植されたレシピエントの臨床状態を調査中である。調査3 : 24歳女性、産後出血のため濃縮赤血球(PRBC、12U)およびFFP(6U)輸血を受けた(7月27-28日)。退院から22日後、頭痛と発熱を来し、髄膜炎のため再入院。腰椎穿刺によりリンパ性髄液細胞増加症と確診され、血清およびCSFのWNV陽性が確認されている。輸血された18Uのうち保存されていた15Uを検査した結果、3U(20%)のWNV陽性が確認された。 調査4 : 72歳男性、脊髄形成異常症のため7月18日-8月7日にかけてPRBC(4U)の輸血を受けた。8日、全身性脱力と発熱のため入院、血清検体にてWNV陽性が確認された。保存サンプルがないため、献血された他の成分を現在調査中、血小板が輸血された他のレシピエントは未調査である。調査5 : 78歳女性、切断術後PRBC(2U)を輸血され、3日後発熱、精神状態変化および発作を来した。急性期および回復期血清サンプルおよびCSFにてWNV陽性が確認されたが、PRBC保存サンプルはWNV陰性であり、ドナー2名と血小板輸血を受けたレシピエント1名の追跡調査が進行中である。調査6 : 77歳男性、骨髄形成異常症のため7月26日-8月23日にかけてPRBC(4U)および血小板輸血(4U)を受けた。23日発熱と頭痛を来し、血清およびCSF検体にてWNV陽性を確認、脳症悪化のため死亡した。保存サンプルはWNV陰性であったが、血小板輸血を受けた3例を現在調査中である。調査7 : 55歳女性、整形手術後PRBC(3U)を輸血、翌日発熱と脳症を発症した。発症から4および40日後の血清検体ではWNV陰性、ドナー1名がWNV特異IgM抗体陽性であった。心臓手術に際しFFPを輸血された他のレシピエントもWNV陰性であったが、現在両者とも追跡調査中である。現時点では、献血のルーチン検査として、WNV検査は行われておらず、FDAでは輸血後にWNV感染が疑われる場合の報告とドナーの確定に関して新たなガイドラインを作成している。
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