ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)ポリオ根絶への進展-インド,バングラディッシュ,ネ・・・
2002/09/20Vol. 51 / No. 37
MMWR51(37) : 831- 833,2002
Progress Toward Poliomyelitis Eradication - India, Bangladesh, and Nepal, January 2001-June 2002
1988年5月世界保健会議によるポリオ根絶宣言以来、ポリオ発生率は99%以上減少し、WHOの3地域(アメリカ、西太平洋、ヨーロッパ)ではポリオ根絶が達成され、南東アジア地域(SEAR)では1994年以降急速に根絶運動が進行している。2001年1月には、SEARにおける常在性野生型ポリオウイルスは北インドに限られ、バングラディッシュおよびネパールへ伝播している。定期予防接種 : 公式の政府発表によると、2001年には1歳未満の乳児の70%(インド)、66%(バングラディッシュ)、92%(ネパール)が経口ポリオワクチン(OPV)3回接種を完了している。補足的予防接種活動 : 2001年12月-2002年3月、全国ワクチン接種日(NIDs)がインド、バングラディッシュおよびネパールにて2ラウンド実施され、2001年にはNIDsに加え、地域別ワクチン接種日(SNIDs)も各国で行われた。また、インドでは2001年に野生型ポリオウイルスが検出されたため、5歳未満の小児4,800万人を対象に掃討予防接種キャンペーンが実施された。2002年には、5歳未満の小児2,900万人を対象に61キャンペーンを予定し、6月時点で15キャンペーンが終了し、980万人が接種を受けている。北インドのハイリスク地域では戸別ワクチン接種がさらに2ラウンド実施され、2001年3,400万人、2002年890万人に接種が行われている。急性弛緩性麻痺サーベイランス : 2002年6月時点で、インド国内10州(総人口の約15%)において非ポリオAFP率が15歳未満で1/100,000人以上となり、糞検体収集率が80%に達していない州は6州(総人口の約8%)となっている。2001年には非ポリオエンテロウイルス分離率(目標値=10%)はインド10-30%、バングラディッシュ29%およびネパール29%となっている。野生型ポリオウイルス発生率 : 野生型ポリオウイルス陽性例の最終確認(バングラディッシュ : 2000年8月、ネパール : 2000年11月)以降、SEARでは野生型ポリオウイルス常在国はインドのみであり、2000年には265例が報告されている。2001年には268例のうち、209例(78%)が1型(P1)、56例(21%)が3型(P3)、3例(1%)はP1とP3の混合型であった。調査の結果、インド北部Uttar Pradesh(UP)州およびBihar州での発生率が高く、2002年6月時点での8州50地域からの159報告例のうち、UP : 135例(85%)、Bihar : 9例(6%)であり、UPではP1株が中央-南部、P3株は西部で確認されている。以上、SEARでのポリオ根絶は北インド国境付近の一部を除いてほぼ達成され、この地域における撲滅運動維持およびこの地域からの伝播阻止が重要と考えられる。
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