ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)ヒト狂犬病-テネシー州,2002年
2002/09/20Vol. 51 / No. 37
MMWR51(37) : 828- 829,2002
Human Rabies - Tennessee, 2002
2002年8月31日、テネシー州フランクリン郡に住む13歳男児がコウモリから狂犬病ウイルスに感染し、狂犬病脳炎により死亡した。症例は8月21日に頭痛と頸部痛を訴え、翌日には右腕のしびれと脱力感および37.8℃の発熱を来し、24日に救急外来を受診した。肉離れの診断で帰宅したが、翌25日39.0℃まで熱が上がり、右腕脱力感、言語不明瞭、複視、項部硬直、嚥下障害により再度受診、頭部CTでは病巣が確認できず小児病院へ移送された[末梢血WBC数10,000/μL(83%リンパ球)、CSF中WBC数220/mL(80%リンパ球)、総タンパク96mg/dL、グルコース57mg/dL]。26日、精神状態低下と流涎により呼吸困難に陥り、気管挿入および人工呼吸器を装着。狂犬病が疑われ、テネシー保険局へ連絡された。その後精神状態は急激に悪化し、翌朝には無応答となり、31日脳死、補助装置をはずし死亡した。8月29日の血清、CSF検体から狂犬病ウイルス特異抗体が検出され、皮膚および唾液検体も狂犬病ウイルスRNA陽性であった。遺伝子配列分析により銀毛東アブラコウモリによるウイルスと判明、家族からこの男児が7月1日頃に湖の近くでコウモリを見つけ、家に持ち帰っていたことが確認された。アメリカでの狂犬病症例はこの10年間平均3例/年であり、1990年以降の感染確認例35例中死亡例は26例(74%)である。コウモリからの狂犬病感染の危険性を広く知らしめ、素手で接触すべきではないことを周知徹底させる必要があると考える。
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