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MMWR抄訳

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2002/09/20Vol. 51 / No. 37

MMWR51(37) : 825- 828,2002
Acute Flaccid Paralysis Syndrome Associated with West Nile Virus Infection - Mississippi and Louisiana, July-August 2002

西ナイルウイルス感染症による急性弛緩性麻痺症候群-ミシシッピーおよびルイジアナ州,2002年7~8月

西ナイルウイルス(WNV)感染により急性弛緩性麻痺(AFP)を来した6例の症例報告。症例1)2002年7月、ミシシッピー州在住の56歳男性。3日間発熱、寒気、嘔吐、錯乱、手足の急性無痛性脱力により入院。身体的検査では両腕の振戦および反射消失、脚は非対称性脱力を認めた。脳脊髄液(CSF)中タンパク質増加から脳卒中の進展と診断され、抗凝固療法を開始、その後ギランバレー症候群(GBS)に起因すると考えられ、免疫グロブリン静注が開始された。脳および頸随のCTおよびMRIは正常であった。症例2)2002年7月、ミシシッピー州在住の57歳男性。3日間の発熱、寒気、嘔吐および頭痛により入院。検査所見ではCSF中タンパク質および髄液細胞増加が認められ、身体的検査では四肢硬直が認められた。知覚検査および脳MRIは正常であった。症例3)2002年7月、ルイジアナ州在住の56歳男性。4日間の発熱、嘔吐、無痛性非対称性脚部脱力により入院。右脚弛緩反射消失、左脚脱力および反射低下が認められた。腰椎穿刺によりCSF髄液細胞増加症が判明、ウイルス感染後脱随症候群と診断された。脊椎MRIでは中等度の頚椎脊髄狭窄症および髄膜炎を伴う馬尾の均一性増強が認められた。症例4)2002年8月、ルイジアナ州在住の69歳女性。嘔吐、嗜眠、錯乱、発熱および右腕無痛性脱力により入院。項部硬直および顎部、左腕、両脚の縮窄性振戦が認められ、髄膜脳炎と診断された。頭部CTおよび脳MRIでは慢性微小血管虚血性変化が認められた。症例5)2002年8月、ミシシッピー州在住の50歳男性。嘔吐と頭痛により入院、右腕弛緩および反射消失が認められたが、知覚検査は正常であった。急性脳卒中と診断され、抗凝固療法を開始した。症例6)2002年8月、ルイジアナ州在住の46歳男性。発熱、寒気、疲労感および脚部脱力により入院。CSF中リンパ性髄液細胞増加が認められ、GBSの診断によりIVIG、抗菌剤投与が開始された。 いずれの症例も筋電図および神経伝導検査(EMG/NCS)では前核細胞および/またはその軸索の重度の非対称性進行が認められ、血清中ウイルス特異的IgM抗体の存在から、急性WNV感染がその原因と考えられた。GBSは症状が全身的であり、知覚変化や知覚異常を伴い、髄液細胞増加を伴わないCSF中タンパク質増加が認められる。また、EMG/NCSでは主に脱随性所見または軸索と脱随性進行の混合が認められる。GBSに対する治療法は灰白髄炎には効果がないため、初期の鑑別診断が重要である。

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