ホームIMICライブラリMMWR抄訳2002年(Vol.51)故意でない亜硝酸ナトリウム摂取後のメトヘモグロビン・・・
2002/07/26Vol. 51 / No. 29
MMWR51(29) : 639-642,2002
Methemoglobinemia Following Unintentional Ingestion of Sodium Nitrite - New York, 2002
ニューヨークにおいて、「精製ヨウ素化食卓塩」と表示されたプラスチックバッグに入った白色結晶状物質により調味した食事を食べた後、メトヘモグロビン血症を発症した1家族5例を紹介する。2002年5月16日、ニューヨーク中東部に住む1家族5例(男性 : 3例、40、43、44歳。女性 : 2例、60、29歳)が摂食直後にめまい、ふらふら感、チアノーゼが発現したため緊急入院した。救急部(ED)到着前に女性2例は呼吸困難と意識喪失が進行して挿管され、到着時29歳女性は反応がなかった。5例全例で著明なチアノーゼがみられ、酸素飽和度は72-96%(正常 : 92%以上)で、血液は黒色調を示した。メトヘモグロビン血症を疑い、メチレンブルーによる経験的治療を開始した。その後、メトヘモグロビン濃度が非常に高値(21-87%、正常 : 1-3%)であることが明らかになった。メチレンブルー投与後10-15分以内にチアノーゼは消退し酸素飽和度も改善した。治療後男性3例は無症状となり翌日退院したが、女性2例は依然ベンチレータの支援が必要であり、60歳女性は5月18日、29歳女性は5月20日に抜管した。全例が完全に回復した。FDAによる調査の結果、「精製ヨウ素化食卓塩」と表示されたプラスチックバッグ中の物質は100%亜硝酸ナトリウムであることが明らかになった。その後、ある人物が肉の保存用に使用した亜硝酸ナトリウムを保存するため食卓塩と表示された袋に移したことが判明した。危険物質の故意でない摂取を避けるためには適切な保存が必要である。また健康上の非常事態に効果的かつタイムリーに対応するためには各種機関の協力が重要である。
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