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MMWR抄訳

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2002/01/11Vol. 51 / No. 01

MMWR51(1) : 1-5,2002
Rapid Assessment of Injuries Among Survivors of the Terrorist Attack on the World Trade Center - New York City, September 2001

世界貿易センターのテロ攻撃の生存負傷者に対する迅速な処置-ニューヨーク,2001年9月

2001年9月11日、世界貿易センターにおけるテロ事件の際、病院に収容された負傷者に関する調査報告。事件発生から13日午前8時までの48時間、New York City Department of Health(NYCDOH)によりマンハッタン内の病院を対象に救急処置に関するデータが収集された。救急外来には1,688例が収容され、うち1,103例(65%)がテロ被害者であった[年齢中央値39(<1-95)歳]。729例(66%)が男性、282例(26%)が救急車により搬送、320例(29%)が消防、警察などの救助関係者であり、181例(16%)が入院、4例(0.4%)が処置中に死亡した。生存者のうち152例(14%)に外傷は認められなかった(心、呼吸器、神経、精神疾患)。また、約半数が発生後4時間以内に収容され、約50%が7.6時間以内に処置を受け退院したが、救助関係者は一般人に比べ収容時間が遅かった。負傷した生存者790名のうち386例(49%)が呼吸困難、204例(26%)が眼に負傷していた。これは煙、塵、破片や熱風などによると考えられ、オクラホマシティやベイルートでの爆破事件に比べ圧倒的に多く、443例(56%)が呼吸器、眼科処置および外傷処置を受けた。骨折例の59%、火傷例の69%、閉鎖性頭部外傷例の57%、圧迫性負傷例の75%がさらに処置が必要と判断され入院し、入院症例の37%(52例)が呼吸障害、19%(27例)が火傷を負っていた。救助関係者の負傷は一般人と異なり、眼科系が有意に多く(39% vs 19%、p<0.0001)、火傷は有意に少なかった(2% vs 6%、p<0.01)。オクラホマ、ベイルートでの事件の際は、収容された患者は軽傷者、後に重傷者の2峰性を示したが、今回の事件では一般人生存者、後に(翌日)救助関係生存者が収容された。WTC周辺からの救出者が少なかったことから、ビル崩壊による多数の死亡者を招いたことが裏付けられる。

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