職員リレーコラム

くるみってやわらかいですよね

2021.11.16 Tue

くるみってやわらかいですよね

Q:何という動物でしょう?

最近話題になっていて、以前から愛されている動物です(よくテレビで観ます)。
柄は白と黒で、大人でももちろん大人気ですが、子供は表情(?)から仕草までかわいらしいく、まさに「ずっと見ていられる」感じでしょうか(鳴き声もまたよい)。
普段興味が無くても少し見るだけで「ほっこり」すると“思います”。

さあ、みなさんはどんな動物を思い浮かべますか?

さて、私は猫を飼っています。

よく猫種別の性格はよく耳にするのですが、毛色で性格の違いはそんなに浸透していないようです。
ですので私の思い込みかもしれませんが、白黒の猫は「わんぱくでおてんば」気性もきつく攻撃的なのかなと思い込んでいるところがあります。

これは東京では無く、まただいぶむかしのお話です。

実家にいた頃、ノラ猫が物置で子育てを初めたのですが、なぜかとても懐いてくれて、子猫共々母家に上がって住み着いてしまいました(夏は窓や玄関は開けていて隙間だらけでしたので)。

子猫は2匹(男の子)で、母猫も一所懸命子育をしていました。

今となっては貴重な経験ですが、母猫がネズミを捕ってきて玄関先で狩りを教えているのを見たときは、私も結構引いてしまったのを覚えています。

それからすくすくと子猫も大きくなり家の周りで遊ぶようになったころ、どこからか見かけたことの無い白黒の猫が現れて子猫を追いかけたり喧嘩をしたり始めました。

ある時、子猫が追いかけられて家の前の木製の電柱へ駆け登り、下りられなくなる“事件”が有りました。

またある時は、家の中で寝ていた子猫に向かって窓の外から襲いかかろうと網戸にへばりついていたりしました。大きな猫でその時は窓いっぱいくらいの大きさの印象でした。

さらにその白黒猫は、家の中にまで入ってきて我が家の猫のごはんを勝手に食べたりして、それはさすがに追い払ったりしていましたが、どうにもヒトにも怯まない様子でした。

それからしばらくそんな日々が続きましたが、いつの間にかその白黒猫は姿を見せなくなりました。
同じころかその前か我が家の母猫もいなくなりましたが、子猫は大きくなってそのまま家に残っていました(というか飼っていました)。

この経験があって、私は「白黒の猫は気性がきつく攻撃的」という印象がついて、その後もずっとそう思い込んでいました。

それから何年か後、上京して三階建てのアパートに住んでいた頃、私は別の猫を飼い始めました(三毛と黒の子です)。

その頃は地域の条例も少しずつ厳しくなって、「猫を外に出して飼うことはやめましょう」ということになっていました。
そのため私も室内飼いにしていましたが、部屋が狭いのと3階の一番奥の部屋でだれも通らないので、たまにリードをつないでベランダや玄関先で猫たちを遊ばせていました。

いつからか、そこに白黒の猫がやってくるようになりました。

白黒猫は我が家の猫にちょっかいを出してくるようになり、喧嘩をしかけたり(実際はうちの子は弱くて相手になりませんでしたが)、部屋に入ってきてうちの猫のご飯を勝手に食べたりとやりたい放題です。

私も、どうも気が強いのが居るなと思っていましたが、どうやらその子は近所でも有名なわんぱく猫のようでした。
体はでっかいのに「ちび」と呼ばれていましたが。

ちびは、よく他の外猫と喧嘩をしたり、近所の家の飼い猫を庭の木のてっぺんまで追いかけて下りられなくしたりと、まさに「わんぱく」。

我が家の猫たちがベランダにいるのを見つけたときも、ちびは道路から3階まで一気に駆け上がってきて脅かし、悠々と我が家の猫たちのご飯を食べています。

我が家の猫たちも、自分のご飯が食べられているのを静かに眺めていて気弱なところがあったせいか、ちびはとても対照的で、やはり白黒の猫は「気性がきつく攻撃的」だなぁと、私はつくづく感じたものです。

小さなころの、そして大人になって上京してからのそんな出来事が、私に「白黒の猫は気性がきつく攻撃的」という印象を強く焼き付けていました。

そんなある日、てっきりノラ猫だと思い込んでいたちびが、実は飼い猫である事が分かりました。
しかも同じアパートの2階の部屋が飼い主さん。

その部屋の方にアパート入口で出会って挨拶していると、ちびがものすごい遠くからその方めがけて全力で駆け寄ってきて胸にジャンプして抱き付き(でっかいので結構な衝撃かと思いましたが)、いっぱいに甘えた鳴き声はまさに「ねこなで声」。タラちゃんもびっくりな甘ったれ様で、全く別の子かと思うほどです。

「暴れん坊のちび」だとおもいこんでいた私には、これは結構衝撃的な光景でした。

その方いわく「甘えん坊でいつもベタベタでして…」との事。
あまりに意外な光景に、私も思わず「可愛いですね」と若干引きつりながら言ったような記憶があります。

それからしばらくして、ちびの飼い主さんが引っ越すことになりました。

引っ越しまで間に飼い主さんに会う機会があり、猫もつれていくのかと聞いたら、どうやら置いていくらしい。
私は「えっ」と思いましたが、ちびはほぼ外で遊んでいるので、慣れている場所が良いと思うと飼い主さんは言っていました。

動物を飼うことの意識がまだまだ緩い時期でもあり、私もどうしたものかと思っていましたが、間もなくその方はちびを置いて引っ越して行ってしまいました。

その後もちびのわんぱくぶりは相変わらずでしたが、それからは、なぜか我が家に来てはご飯を食べて居眠りをしていたり、さらにうちの猫とも仲良くなって一緒に寝ていたり、わんぱくな顔だけではなく、我が家で穏やかにくつろいでくれるようになりました。

私はしばらくの間その様子をみていましたが、ただ何となくちびの元気もない様子なので、ついにある日、面倒をみる決心をして「なあ、ちび、うちの子になるかい?」と話しかけてみました。

特に反応は無かったのですが、その翌日から、ちびはぱったりと部屋に来なくなりました。

近所のうわさも無くなり、姿も見なくなったのでかなり心配な日々でしたが、ただ最後の様子を思うと、なぜだか探さなくてもちびは大丈夫な気がしていました。

猫は暮らす場所と暮らすヒトを選ぶようです。
おそらく元の飼い主さんの引っ越し先は近所で、ちびは自分で“自分の棲み処”を見つけたのかなと、たまに思い返すたび、私はそう思い込んでいます。

そして今、私の家には白黒の猫が3匹います。

個性はそれぞれですが「わんぱくでおてんば」とはまったく逆の優しく、寂しがり、怖がりの性格です(甘ったれなのはちびと同じですけれども)。
その3匹の白黒の子たちを家に招くときも、私には「白黒の猫は気が強い」という思い込みがあって、どうしたものかと悩んでいたのですが、結局、“猫のほうが”自分の暮らす場所といっしょに暮らすヒトを選ぶんですね。

さて冒頭のクエスチョンについて、みなさんはどんな動物を思い浮かべましたか?

おそらく、真っ先にダルメシアンや世界一有名なビーグル犬、牛(ホルスタインかな)、鶴とか燕、ペンギンやシャチとか普通に連想されたのではないでしょうか。

残念。
答えは違いまして、なんと「パンダ」のお話です。

夜中に何となくテレビを観ていたら、女性のタレントさん(アイドルか)のクイズ企画が放送されていて、その方がやりたい動物番組について、どんな動物の番組をやりたいのかを当てるというのがクイズの問題でした。

女性タレントさんにやりたい企画内容を聞くと、「パンダや熊と絡みたい」との回答でした。

冒頭のクエスチョンにあるように、「パンダはかわいらしい」という思い込みがあったのでしょうか、司会の方が「ちっちゃいパンダとか、かわいいですもんね」と話しを向けていました。

私も同じくパンダはかわいいものと思い込んでいたので「まぁ、そうだな」と思っていると、彼女は「いや、ちっちゃいパンダでは嫌です。でかいパンダでないとダメです」と言い切っていました。

そのテレビ番組を観ていて、私は思わず「はっ」としました。

ふっと我が家の白黒猫たちをみて、私たちが普段、「普通」や「常識」といっているような思い込みはきっと絶対ではないんだなと、私はそのとき深く反省したのです。

今回はそんな思いを綴ってみました。

一応これでこのコラムは終わりですが最後に少しだけ、そのタレントさんは、パンダと何をしたいかも回答していて「パンダに肩車されたい」とさらにトリッキーな答えをされていました。
なかなかワイルドですね。

「発想や行動は柔軟に」と、さらに心掛けたいと思うこの頃です。

KooA KooA