職員リレーコラム

Let’s マラソン! ~私の海外武者修行~

2019.07.04 Thu

スポーツ

1.初マラソンまでの道のり

今からちょうど3年前、「半世紀生きた記念」に何かを始めたいと思いました。当初はゴルフを再開しようと試みたのですが、時同じくして右だけ五十肩となり断念。そこで、腕がダメなら足という単純な理由で、家族に宣言してフルマラソンにチャレンジすることにしました。
ランニングはウエアと靴があれば簡単に始めることができます。レッスンや場所の予約はもちろん、メンバーを集める必要もありません。1時間くらい自由な時間ができたら、さっと着替えて日焼け止めを塗って走りに出るだけです。しかも無料(笑)。

早速、通っているジムでホノルルマラソンのツアーに申し込んだところ、その翌週から週1回、トレーナーによるマンツーマンでの地獄の(!)トレーニングが始まりました。マラソンを完走するためにはあらゆる筋肉を鍛えなければならず、さらには良質のたんぱく質の摂取に努めるなど食事の指導もあり、にわかアスリートの日々となりました。どこかのテレビ番組で「筋肉は裏切らない」と言っていましたが、本当です!この筋トレのおかげで自分自身の身体と向き合うことができ、マラソンだけでなく「人生100年時代」への体力面での準備を始めることができました。

2.ホノルルマラソン(2017年)

朝4時、真っ暗の中、スタートです。まずは人の多さに圧倒されました。毎年2万5千人以上の人が参加し、その約半数が日本人だそうです。被り物やコスプレ、メッセージ付きTシャツを着ている人がたくさんいてホノルルマラソン特有のお祭りムードを満喫しましたが、スタート地点にたどり着くまで20分以上かかり、15㎞地点くらいまでは人を追い抜くのも一苦労です。しかし、幸い25㎞地点くらいまで涼しかったため体力を温存でき、霧雨が降った後に現れた大きな虹を真横に見つつ、無事完走することができました。生まれて初めて完走メダルを首にかけてもらいましたが、感動のあまり号泣することを想定していた私にとって残念ながらそれはなく、私の「半世紀生きた記念」は何とも淡々と終わってしまったのでした。

3.バンクーバーマラソン(2018年)

ホノルルで感動を得られず消化不良となった私は、そのモヤモヤを解消するため、もう一度フルマラソンにチャレンジしてみることにしました。ホノルルで知り合った60代の女性の方々がそろって「マラソンは海外の大会のほうが楽しい」と言っていたので、年明け早々、バンクーバーマラソンにエントリーしました。

バンクーバーは、絶好のマラソン日和でした。2度目ということで心にも若干余裕があり、美しい景色を堪能しながら走りました。「走るって楽しい!」と初めて感じることができたことは大収穫です。ホノルルに比べれば参加者は半数以下で日本人はあまりおらず、ちょうど豪華客船が停泊していたこともありヨーロッパからの参加者がたくさんいたのですが、彼らの多くは自国の国名や国旗がプリントしてあるシャツや帽子を身に着けて走っていました。そう言えば私は日本人だった、ということに改めて気づかされます。これは日本の大会ではなかなか経験できないことです。

順調に残り4㎞地点にある最後の給水所にたどり着きました。すると、そこにいたボランティアの人たちから突然日本語で「●●さーん(ゼッケンに書いてある私のfirst name)、頑張ってくださーい!」と激励されました。よくよく見ると、娘や息子と同じくらいの年齢の日本人の留学生たちでした。このサプライズにより、なぜか私の涙腺が一気に崩壊し、残り4㎞をグシャグシャな顔のままゴールすることになったのでした。

4.ヘルシンキマラソン(2019年)

そうか、半世紀生きてしまうと、もはや想定内のことには感動できず、想定外のことでないと感動が呼び起こされないのではないか。想定外のこと(アクシデントではなく、サプライズを希望しますが)が起こるのがマラソンであり、次のマラソンも何かサプライズがあるかもしれないと味を占め、今度はヘルシンキで走ることにしました。

午後3時スタートでこちらもマラソン日和だったのですが、私にとっては、かなりの難コースとなりました。まずは、太陽です。北欧の5月恐るべし、「白夜」の幻想的なイメージはどこへやら、夜になっても目線のところにずっと太陽がいます。(下の写真は、午後9時頃です)。また、ヘルシンキはあちこちに沼地が散在しており、その沼を超えるための太鼓橋がたくさんあります。さらには急な坂もいくつもあるため何度も何度も昇降させられ段々腹が立ってきたところ、「Smile!」というプラカードを持った応援の人が立っていました。ああ、しまった!私は楽しんで走るために来ているのだったと猛省したのでした。

ゴールはヘルシンキオリンピックが開催されたスタジアムでした。オリンピック選手気分で入場したところ、突然「●●●●(私のfull name)、from Japan!」と日本代表さながらの場内アナウンスがありました。待望のサプライズ 笑!そう言えば私は日本から来たんだったとグッとこみあげるものがあり、これまた100mあまり号泣しながらのゴールとなりました。

という訳で、おかげさまで3回とも無事完走することができました。これも、職場のみなさまのご理解とご協力、そして「勝手にどうぞ」というあきらめの境地の家族のおかげです。また、このコラムを書かせていただいたことで、私の感動ポイントは「自分が日本人であることに気付かされること」なのではないかという気がしてきました。そうであれば海外マラソンはしばらくやめられません(笑)。

マラソンは、やる気さえあれば誰でもできる競技です。小学生もいましたし、70代・80代の方々もたくさん走っていました。「人生100年時代」ですから今から始めても間に合います!たまにしか楽しいと思えませんが(あくまでも個人的な感想です笑)、「想定外の感動」を求め、一緒に走りませんか?

いだてん子