ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)ブラジルへの旅行者における致死性黄熱、2018年
2018/03/23Vol. 67 / No. 11
MMWR67(11):340-341
Fatal Yellow Fever in Travelers to Brazil, 2018
黄熱ウイルスは蚊媒介性フラビウイルスで、南アメリカおよびサハラ以南アフリカで発症する急性感染症である黄熱の原因となる。黄熱患者の大半は無症候性であるが、15%の重症患者における致死率は20~60%である。黄熱のアウトブレイクは2016年12月にブラジルで始まり、2017年7月以降、サンパウロ州、ミナスジェライス州、リオデジャネイロ州からヒトと非ヒト霊長類の両方の症例が報告されている。2018年1月16日にWHOは、最近のアウトブレイク前にワクチン接種が推奨されていたエリアに加え、エスピリトサント州、サンパウロ州、リオデジャネイロ州、バイア州のいくつかの市へ旅行または居住する全ての人を含むブラジルの黄熱予防接種勧告を更新した。2018年1月以降、ブラジルから帰国した国際的な旅行者において、4例の死亡を含む10例の旅行に関連した黄熱症例が報告されている。これらの10例は、黄熱ワクチン接種を受けていなかった。1月15日以降、ProMEDによって10例中5例が報告され(アルゼンチン2例、チリ3例)、チリの2例は死亡した。さらに、2018年1月1日~3月15日に、ブラジルから帰国したワクチン未接種の旅行者の確診例5例が、GeoSentinelによって報告された。GeoSentinelが報告した最初の症例は、2017年12月~2018年1月にサンパウロ州に3週間旅行した46歳のオランダ人男性である。2番目の症例は42歳のフランス人女性で、2017年12月から2018年1月までの4週間、ミナスジェライス州へ旅行し、ブラジルで黄熱の診断を受け、フランスへ帰国後、GeoSentinelの施設で検査された。 3番目と4番目の症例は34歳のルーマニア人男性と44歳のスイス人男性で、2018年2月に約2週間ブラジルを訪問した。5番目の症例は33歳のドイツ人男性で、 2月下旬にブラジルで1週間過ごした。スイス人とドイツ人の旅行者は疾患のため死亡した。10例のうち、8例がリオデジャネイロ海岸の森林で覆われた島のIlha Grandeで感染し、この島では2018年2月初めにヒトとヒト以外の霊長類の黄熱が報告されている。Ilha Grandeで発症した8例のうち4例が死亡した。黄熱は死亡する可能性の高い疾患であるが、ワクチン接種によって予防可能である。黄熱予防接種は、サンパウロ州とリオデジャネイロ州(特にIlha Grande)を含むブラジルの多くの地域を旅行する生後9カ月以上のすべての対象者に対して推奨する。未接種の旅行者はワクチン接種が推奨される地域への旅行は避けるべきである。 ブラジルまたは黄熱が発症している地域を訪れる旅行者は、旅行の少なくとも10日前に黄熱ワクチン接種を受け、蚊の咬傷を避けるための勧告に従う必要がある。FDAが認可した黄熱ワクチンのYF-VAXは現在、製造上の困難によりアメリカでは入手できないが、代替ワクチンStamarilは、限られたアメリカ黄熱ワクチン接種クリニックを通じて接種可能であるが、診療所を利用するまでに時間がかかる可能性があるため、Stamarilの接種は前もって計画する必要がある。帰国した旅行者を診察する臨床医は、黄熱の徴候および症状に注意し、ブラジルまたは黄熱の流行中の他の地域から帰国する旅行者の黄熱曝露の可能性に関する警戒を維持すべきである。
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