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MMWR抄訳

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2017/07/07Vol. 66 / No. 26

MMWR66(26):692-696
Two Outbreaks of Trichinellosis Linked to Consumption of Walrus Meat — Alaska, 2016–2017

セイウチ肉の摂食に関連した2件の旋毛虫症アウトブレイク ― アラスカ州、2016~2017年

旋毛虫症は、Trichinella属線虫が感染した生または加熱不十分な肉の摂食が原因で起きる。1975~2012年の間、アメリカでは1,680件の食品関連旋毛虫症例が報告されており、その多く(1,219件)は豚肉が原因であったが、1990年代後半以降は原因食品として豚以外の野生獣肉の割合が高くなっている。アラスカ州では、1975年以降241例の旋毛虫症例が報告され、そのうち227例(94%)がクマ (アメリカグマ、ヒグマ、ホッキョクグマ)およびセイウチやアザラシなど鰭脚類に起因したものであった。2016年7月~2017年5月、アラスカ州公衆衛生局はノートン湾地区で発生したセイウチ肉の摂食に起因する2件のアウトブレイクについて調査し、各5例が旋毛虫症と診断された。1件目は、2016年8月15日に始まった下肢の浮腫、疼痛、歩行困難、掻痒性皮疹、脱力、発熱、筋肉痛を訴えた女性を含む家族3例であり、7月17日に生または半生に焼いたセイウチ肉を摂食した。全例が好酸球数の増加を示し、2例がELISA法で抗Trichinella属IgG抗体陽性を示した。さらに9月19日に、同じ地域に住む女性の叔父と叔母がセイウチ肉を喫食したのち8月7日に発症したことも報告された。原因となったセイウチ肉が同一個体のものかは不明である。2件目は、1件目と約160 Km離れた同じノートン湾岸の地域で発生した。2017年5月12日に成人男性1名が入院し、好酸球数の増加とクレアチニンキナーゼレベルの上昇を示した。ELISA法は陰性であった。調査により、4月25日前後に一緒にセイウチ肉料理を喫食したセイウチ猟仲間の2家族計4名の発症が判明し、うち2名はELISA法にて抗Trichinella属IgG抗体陽性を示した。これらのアウトブレイクにより、旋毛虫症の発生時には購入および個人的に入手した肉や、その調理法の調査が重要であることが示唆された。野生鳥獣の狩猟がレクリエーションあるいは食料の自給自足に必要となる地域では、文化的な背景に配慮しつつ、公衆衛生上のリスクについて伝達する必要がある。

References

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